「首の皮一枚」日本代表が背負う経済的重圧の正体 「4年の1度の特需」が失われた場合のダメージ

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協会は「JFAの目標2030」でサッカーファミリー800万人を掲げているが、少子化が進む中、新たな支持層獲得はやはり難易度の高いテーマだ。今年4月には、引退したばかりの元日本代表・中村憲剛氏をJFAグロース・ストラテジストに招聘。登録制度改革とサッカー普及のテコ入れに乗り出した。こうした試みもカタールW杯で日本代表が躍進するのと、最終予選敗退するのとでは結果が違ってくる。

東京五輪・スケートボード男子ストリートで金メダルを獲得した堀米雄斗(XFLAG)に憧れ、公園でボードに乗る少年が激増しているように、サッカーも眩しい存在であり続けなければ、競技人口もファンも増えない。森保監督や選手たちは本当に多くのものを背負って戦わざるをえないのだ。

吉田麻也「サッカーに携わるすべての人たちの死活問題」

誰よりもそのことを強く認識しているのは、キャプテン・吉田だ。10月のオーストラリア戦前にもこんな発言をしていた。

「本当にW杯に出る・出ないというのは、僕たちだけじゃなくて、サッカーに携わるすべての人たちの死活問題になると思うんです。最終予選の一戦一戦の意味は非常に大きいですし、それだけのものが自分たちの背中にのしかかっているのは事実。そのプレッシャーを力に変えていかなければいけないなと思っています」

その言葉どおり、勝利という結果を出し、カタールW杯出場権を手にしてくれれば、数々の懸念材料は杞憂に終わる。まずはベトナム・オマーン2連戦で勝ち点6を確保することからすべてが始まると言っていい。

ここで上昇気流に乗れば、2022年の残り4戦でサウジアラビア、オーストラリアの2強を上回る可能性も出てくる。そうやって日本の底力を示し、1997年の「ジョホールバルの歓喜」以上のミラクルを起こせるのか。7大会連続W杯出場を何としても実現してもらうべく、吉田らの一挙手一投足に期待するしかない。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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