「首の皮一枚」日本代表が背負う経済的重圧の正体 「4年の1度の特需」が失われた場合のダメージ
こういった現実に協会も危機感を強め、2020年10月から公式ユーチューブ「JFA TV」内で日本代表の密着動画「Team Cam」のデイリー配信を開始。少しでもコアファンを増やそうと工夫を凝らしている。が、劇的勝利のオーストラリア戦の裏側を描いた10月13日アップ分でも再生回数は25万回程度。ハイライト動画などは50万回を超えることもあるが、メガヒットには遠いと言わざるをえない。
これ以外にも、今回の最終予選スタートに合わせて8月末に公式TikTokアカウントを開設したり、10月にはLINE着せ替えスタンプを発売したりと、若い世代へのアプローチを強めている。が、日本代表の苦戦に加え、最終予選アウェー戦の視聴環境が定額動画配信サービス=DAZNのみとなり、関心を持つ人間が増えづらい環境にあるのは確かだ。
「日本代表に興味はない」という声も
DAZN加入者数の公式データはないものの、現状では推定200万人以上はいると見られる。ただ、Jリーグの独占配信が始まった2017年以降、コアなサッカーファンはすでに加入を済ませており、最終予選のために新規契約するライトファン層がどれだけいるかは不透明である。
これはあくまで一例だが、筆者が非常勤講師を務める都内専門学校のスポーツビジネス学科の生徒15人程度にDAZN加入状況をヒアリングをしたところ、もともとの加入者は1人。「今回の最終予選を見るためにDAZNに入った」という人間は皆無で、大半から「日本代表に興味はない」という辛辣な回答が得られた。
20歳前後の若者世代を新規ターゲットと考えると、地上波による最終予選放送が半減した影響はやはり大きいようだ。彼らにサッカーや日本代表の魅力を伝えるためにも、やはりW杯出場は必要不可欠。日本中が注目する檜舞台がなくなってしまったら、ライト層の一般人が日本代表に目を向ける機会も失われることになる。それは先々を考えても厳しい。
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