奥田務・J.フロント リテイリング会長兼CEO--百貨店は大衆と共にある 時代に合わせ変化対応を

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街を歩けば、百貨店の婦人服が売れない理由が肌でわかる。百貨店では値段が高めでドレスアップ的なおしゃれ着中心。しかし、皆さんが着ているのは非常にカジュアル。メンズスーツも、6年前の中心価格帯は7万~8万円だったが、今は3万~4万円。中国の縫製技術が向上したこともあり、それでも品質は遜色ない。

変わり切れない百貨店は淘汰される

--価格にシビアになってきた消費者に対して、百貨店は高額路線にこだわり、高コスト体質にあった。

どこの店に行っても、同じ商品が並び、フロア構成も似たり寄ったり。お取引先も一緒で高額商品、中高年層への過剰シフトが起こってしまった。本来、百貨店は大衆と共に歩んできたのに、その理念を忘れてしまった。というのも、百貨店は大きな店舗を構えてお客様がいらっしゃるのを待っている業態のため、ほかの業界との交流もあまりなく、マーケット志向が弱い。

百貨店の取引形態には、主に売り上げ仕入れ(消化仕入れ)と、買い取りの二つがあり、前者が売上高の約7割を占めている。これはお取引先に場所を提供し、仕入れ、品ぞろえから販売までやってもらうので、百貨店側にリスクがない。このため、不動産業ではないかとも言われる。一方、買い取りは自分たちがリスクを取って販売するやり方だ。

問題は、売り上げ仕入れと買い取りとで、似て非なるマネジメントが必要なのに、入り交じっていたことだ。もともと呉服発祥の百貨店は買い取りが基本だったが、売り上げ仕入れが大半を占める今も、昔の手法での人員配置を引きずっている。それが高コスト構造につながった。

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