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普通の会社員が面接官になったとき思うこと 「ありのまま」を差し出されても、それで理解するなんて無理だ

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面接官をやっていて困るのは、自分をどう評価してほしいのかがまったく伝わってこないときだ。アピールのベクトルがばらばらで「こういう人」という人物像が浮かび上がってこない。

もちろん実際には、人間は多面的で複雑な生き物だ。「こういう人」と一言で言うことなど本当はできない。しかし、「ありのまま」の断片を差し出されても、雲をつかむような話にしかならない。そこから相手を理解するなんて無理だ。

優秀な人だって面接で落とされている!

就職活動には自己分析が大事だと言われるが、その目的は「本当の自分」を知ることではない。自己分析は、自分の性格や経歴、趣味やエピソードを棚卸しして、使えそうな部分を探し、どういう人物像を打ち出していくのかを考える、一種の編集作業なのだ。理解されやすい形に自分自身を再構成していくことで、面接で打ち出す人物像が明確になる。

ただ、就活生諸君に忘れてほしくないのは、短時間の面接で本当の人間性や能力、将来性などを見抜こうとするのに、そもそも無理があるということだ。ビートルズがEMIと契約する前にデッカ・レコードのオーディションを受けて不合格になったのは有名な話だが、僕が担当する番組に出演している評論家の荻上チキさんや、ジャーナリストの津田大介さんも、新卒のときの就職活動で出版社などを受けて、面接で落とされたらしい。2人ともとても優秀な方なので、出版社に入っていても大活躍していただろうと思うのだが、面接という仕組みの精度はその程度なのだろう。

面接官との相性や、その年の採用人数という「運」の要素が極めて大きいし、面接でわかるのは第一印象までだ。まあ、第一印象が良いほうが仕事上有利なことは多いので、意味がないわけではないが、決してその人の本質を評価できるようなものではない。

面接で落とされ続けていると、自分自身の人間性を否定されたような気持ちになってしまうかもしれない。「就活自殺」などという痛ましい話も聞く。しかし、何年も面接官をやってみて断言できるのは、面接で問われているのは、あなた「そのもの」ではなく、あなたの「やり方」にすぎないということだ。

運の要素が大きいとはいえ、いくらやってもダメなときは、面接での自分の打ち出し方を間違えている可能性はある。そんなとき、自分自身を否定する必要はない。ただ落ち着いて、自分のやり方を見直してみればいいだけだ。就職してからも、そんなことの連続なのだから。

構成:宮崎智之

「週刊東洋経済」2014/8/23号:実家の片付け

 

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この記事の筆者・長谷川裕氏がプロデューサーを務める「文化系トークラジオLife」が、8月31日(日)25:00~(9月1日1:00~)に放送されました。テーマは「ソーシャル、レジャー、リア充」。過去の放送は、ポッドキャストでも聴けます。

 

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