「ターゲットはシニアではなくママ」で大ヒット 発想の転換で売上が伸びた電動アシスト自転車

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とはいえ、新しい商品を、これまで接点のなかった新しいお客さまに一足飛びに売る(①→④)というのはやはりハードルが高い。このマトリクスでいえば、まずは「真上」に行くか「真横」に行くかで考えるべきでしょう。

「売れなかった情報」にも価値がある

新しい商品を従来の顧客に売るという場合(①→②)、より売れる商品をつくるためには、自社の既存商品をなぜ買わなかったのか、なぜ他社の商品を選んだのかという、自社にとっての「売れなかった情報」に価値があります。

一方、新しい商品を開発するのが大変だからということで、従来の商品を新しい顧客に売りたい場合もあるでしょう(①→③)。これはつまり新しい市場を見つけることですが、そのためには、その商品をなぜ買ったのかという「売れた情報」が役に立ちます。より詳しくいえば、「想定外の顧客が、想定外の使い方をしている情報」に価値がある。

『ネクストカンパニー』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトへジャンプします)

先ほどの電動アシスト自転車の例でいえば、もともとシニア向けに開発した商品だったのに、保育園の送迎に使うママたちがいたという情報です。

普通に買い物に行くためだけの自転車なら、1万円か2万円も出せば買えるのですが、とくに小柄な方・非力な方にとっては、子どもの送り迎えは普通の自転車だとペダルが重くて大変です。また、大切なわが子を乗せるのですから、安全面も気になる。

多くの人がこうした価値観を持っているからこそ、電動アシスト自転車は十数万円でも売れるのです。もちろん普通の自転車とは原価も違いますが、これは「価値観の差」で儲けることといえるでしょう。

別所 宏恭 レッドフォックス株式会社 代表取締役社長

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べっしょ ひろゆき / Hiroyuki Bessho

1965年、兵庫県宝塚市生まれ、西宮市育ち。横浜国立大学工学部中退。独学でプログラミングを学び、大学在学中からシステム開発プロジェクトなどに参画。1989年レッドフォックス有限会社(現レッドフォックス株式会社)を設立し、代表に就任。

モバイルを活用して営業やメンテナンス、輸送など現場作業の業務フローや働き方を革新・構築する汎用プラットフォーム「SWA(Smart Work Accelerator)」の考え方を提唱。2012年に「cyzen(サイゼン/旧称GPS Punch!)」のサービスをローンチ、大企業から小規模企業まで数多くの成長企業・高収益企業に採用される。著書に『ネクストカンパニー 新しい時代の経営と働き方』がある。

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