「ターゲットはシニアではなくママ」で大ヒット 発想の転換で売上が伸びた電動アシスト自転車
先ほどお話ししたように、電動アシスト自転車のメインの使用シーンは保育園の送迎です。「どうすればもっと楽に送迎できるか」を考えて、女性でもまたぎやすいように、ペダル部分と前輪をつなぐフレームを低くしたり、買い物袋をつけられるようにしたりと、いろんなことを試みるものの、パナソニックとヤマハには勝てない。
そこで、女性誌とのコラボレーションで、ママさんたちに向けて、ある意味で「究極の電動アシスト自転車」をつくることになります。その答えは「運転手つき」。つまり、「パパが乗る」ための電動アシスト自転車です。今でこそ、若い男性も数多く乗っていますが、以前は「女性や高齢者向けの商品」という印象の強かった電動アシスト自転車を、男性ユーザーを大いに意識してつくったのです。
HYDEE.B(ハイディビー)という商品ですが、「ハンサムバイク」というキャッチフレーズで、つや消しブラックなどのカラーを用意し、タイヤも大きめ。ハンドルについた計器でスピードも表示できるし、多くの男性が好むような、スポーティでかっこいいデザインにしました。
女性にしてみると、「スピードが何キロ出ているかに興味はないし、とにかく何でもいいから、楽に早く送迎できればいい」という人も多いと思われますが……。
もちろん、マーケットとしては、まだ順位を一気に逆転できるほど大きくはありません。やはり仕事の関係もありますから、たとえば朝はパパが送っていても、迎えはママということも多い。そのため、結局はママも乗れるようにしています。
売れる商品をつくるために入手すべき情報とは
では、実際の商品企画においては、社内および社外を含めて、具体的にどんな情報、どんな意見を手に入れればいいのでしょうか? これは言い換えると「商品企画において、どんな情報が『質の高い情報』なのか」ということでもあります。
下の表は、「アンゾフの成長マトリクス」として知られる図の考え方をベースに、商品企画にどんな情報が必要かを考えたものです。
図の左下の「既存商品を既存顧客に売る」という場合、基本的にはレッドオーシャンで商売することになる。当然ながらライバルが数多くいて、少しでも価格を抑えなければいけないため、効率化が最優先です。ここにいる限りは「高く売る」ことは望むべくもありません。こんなフィールドからは、少しでも早く足を洗う必要があります。
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