従業員のメンタル不調をいたわる労務管理のツボ 会社はどうやって従業員の心を守ったらいいか
安田:あと、産業医のいない従業員50人未満の会社や支店または店舗で活用できる支援かなにかないですか?
かなえ先生:常時使用している従業員が50人未満の小規模事業所に対する支援もあるわよ。
地域産業保健センターは、小規模事業所のストレスチェックや面接指導の実施の際に活用できる。産業保健総合支援センターの地域窓口(地域産業保健センター)では、小規模事業所に対する相談支援などが行われ、ストレスチェックの結果に基づく面接指導も、依頼により無料で実施対応している。
かなえ先生:ストレスチェックと面接指導の実施状況は、毎年、労働基準監督署に所定の様式で報告するのよ。
安全配慮義務とは?
安田:さっき出てきた、「会社の安全配慮義務違反として損害賠償が行われたりする事例が増えている」の、安全配慮義務ってなんですか?
かなえ先生:安全配慮義務とは、会社として従業員の命や安全に配慮しなければいけない義務のことよ。法律によって、「従業員がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする」ことや、「快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における従業員の安全と健康を確保する」ことを会社の義務と定義しているの。
安田:従業員がストレスチェックの結果の提供に同意せず、面接指導の申し出もなければ、会社側は従業員のストレスの状態やメンタルヘルス上の問題を把握できないですよね。その結果、適切な就業上の配慮ができなくて、従業員がメンタルヘルス不調を発症した場合、会社の安全配慮義務違反になっちゃうんですか?
かなえ先生:安全配慮義務については、民事上の問題になるため、最終的には裁判で判断されるわね。従業員のストレスやメンタルヘルスの把握は、ストレスチェック以外の機会でも把握できることがあるので、ストレスチェックの結果が把握できないというだけで、会社の安全配慮義務がなくなるわけではないわね。
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テレワーク、ハラスメント、メンタルヘルス、3回にわたって労務管理についてお話ししてきました。会社も社員も働きがいのある幸せな職場環境を構築するためにも、労務管理のルールを知って取り組んでいきましょう。
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