「新しい資本主義」は「新しいバブル」にすぎない 「中間層」を増やすことは本当に可能なのか?

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それは、資本主義にとって都合が悪いからである。

電力消費を減らすということは、経済拡大を犠牲にするということである。しかも、スマホ、コンピューター駆使の社会で、電力消費は増える一方である。世界中の眠らないサーバーで、電力は世界中で24時間365日大量に消費されている。電力消費総量の大幅削減は、経済の拡大を確実に抑制する。だから、それは避けるのである。

脱炭素で別のエネルギーになるのであれば、経済拡大は止まることはない。さらに、あわよくばもうけのチャンスになる。新エネルギーのためには大規模な投資が必要だから、これは、経済規模大幅拡大につながる。そこで、こぞって新エネルギーを持てはやし、現実のエネルギー効率はないがしろにされているのである。そして、この流れが生まれてしまえば、四の五の言わず、この流れに乗ったもの勝ちだ。だから我先にと、このマーケットに殺到している。

「ブレーキ」VS「アクセル」のせめぎ合いが10年続く

これはどこかで見た景色だ。そう。バブルそのものである。脱炭素バブル、SDGsバブル、ESGバブルである。これで、もう一度バブルの恩恵に授かろうとしていたのだ。

しかし、早くも困難に直面している。資源価格が高騰して、早くも現実世界に引き戻されつつある。金融市場は、自分たちで自己実現バブルを作ればよいが、実体経済、実社会での生活はそうはいかない。急激すぎる、無理な脱炭素の動きにブレーキが今後かかっていくだろう。一方、金融市場や投資家たちは、その現実を無視してバブルを膨らませ続けようとするだろう。そのせめぎあいが、今後10年は続くだろう。

日本は、この脱炭素バブル、環境バブルに乗り遅れている。なぜなら、日本は、この問題で世界では圧倒的に進んでおり、現実をよく知ったうえで、現実的な環境対応を行ってきた実績がありすぎたからだ。

バブルは実体のないものほど乗りやすい。バブルが膨らみやすい。日本は、環境問題では、実体がありすぎ、実績がありすぎて、現実的すぎて、バブルに乗るにはためらいがあったため、乗り遅れてしまったのだ。そして、今でも半信半疑、躊躇しながらバブルに乗るかどうかを迷っている。どうせバブルに乗るのであれば、早いほうがいいのだが、もう遅い。資本主義最後のバブルゲームには乗り遅れてしまったのだ。だから、このバブルが崩壊して、世界が現実に引き戻されたときに出番が来るだろう。その時まで、じっと備えておくのが正しい戦略だが、そう肝を据えられるかどうか。日本の政治には無理な気配があり、一番遅れてバブルに乗ろうとしたのが前菅義偉政権であり、この点では岸田政権も同じであろう。

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