年収300万円の男性と「アプリ婚」40歳女性の選択 遠距離、2回の結婚経験よりも重視したこと

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マッチングアプリを活用するにあたり、千恵さんは婚活パーソナルトレーナーへの相談および婚活本で勉強して自分なりの方針と方法を固めた。1つ目は、前回の反省を生かして自分からはアプローチをしないこと。2つ目の方針は、プロフィールには学歴や年収をうそ偽りなく記し、論文執筆や趣味にも打ち込んでいる近況を長めに書くことだ。

「アプリは登録当初はたくさんの『いいね』をもらえます。私の場合、50人ほどからメッセージ付きの『いいね』が来ました」

この段階で千恵さんによる選別が行われている。「いいね」自体は200件ほどあったが、メッセージのないものは真剣度が低いとみなして無視したのだ。そして、自分のプロフィールをちゃんと読んで理解してくれているのかという基準でメッセージを精査し、20人ほどは落とした。職場でも学生のレポートを採点している千恵さんにとっては難しくない作業だろう。

マッチングアプリには気軽さゆえのリスクもある。遊びや詐欺目的などの不誠実な人が混じっていることだ。そういう人は「効率」を重視するため、知的で長めのプロフィール文を読み込んで的確なメッセージを送るような手間はかけない。実際、絞り込みを行った後の千恵さんはメッセージのやり取りで嫌な思いは一度もしなかったと語る。

出会ったのは家族といるような安心感の人

「会ってみようかなと思った方は4人ほどいました。実際に会ったのは夫だけですけど」

夫の幸太郎さん(仮名、49歳)は首都圏在住。千恵さんとは遠距離というだけでなく、スペックの面で婚活の場で選ばれにくい男性である。離別と死別の前歴が1回ずつあり、年収も300万円ほどだからだ。

以前は大企業で働いていて倍ほどの収入があった幸太郎さんは起業を志して数年前に離職。現在は教育関係の会社で正社員として働きつつ、アマチュアスポーツの選手としても活躍している。仕事だけに集中はできないのかもしれない。

幸太郎さんが関西在住だった千恵さんを選んだのには理由がある。死別した前妻も研究者であったこと、幸太郎さん自身が落語鑑賞や読書などが好きでハードコアな文化系である千恵さんに共感したことだ。

「最初はZoomで話して、1週間後に東京で実際に会いました。浅草でドジョウ料理を食べてから寄席に行くという私好みのデートコースです(笑)。半日一緒にいて、家族といるみたいな安心感がありました。ドキドキの恋愛とはちょっと違います」

交際が順調に進み、結婚することに決めた。千恵さんの父親は幸太郎さんとの年齢差や彼がバツ2であること、出会いがアプリだったことに難色を示した。コロナ禍で対面もしにくい。半年ほどの交際で「彼の人柄はどこに出しても恥ずかしくない。お父さんもきっと気に入ってくれる」と確信していた千恵さんは今年5月にZoomでの挨拶を決行。オンライン上だったが、父親も「すごく真面目な人なんだな」との感想を述べてくれた。

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