35歳以上で結婚した人を訪ね歩く本連載。今回は、千葉県で林業に従事している56歳男性と関西の都市部で看護師をしている49歳シングルマザーのカップルだ。
結婚願望のあった香川大輔さん(仮名)に連絡をもらい、筆者がプロフィール記事を作成してネット上に公開したのは今年3月中旬。筆者はライター業のかたわら、男女を引き合わせて結婚までをお手伝いする「お見合いおじさん」をしているのだ。
大輔さんは清潔感もコミュニケーション力もある若々しい男性で、味噌や梅干しを毎年手作りするほどの家事能力の持ち主だが、多くのお見合い申し込みは期待できなかった。
若い頃の離婚歴が問題なのではない。都会育ちだけど山や海で遊ぶことが大好きだという大輔さんは自由すぎる50代なのだ。システムエンジニアと鍼灸師を経て、今は林業の会社で新米の「木こり」として働いている。
「五感で自然を感じながら働くのは大変だけど気持ちがいい」と大輔さんは爽やかに笑うが月収は18万円。貯金はほぼない。夢は森の中で鍼灸院を開くこと。森というより夢の中を生きているような人物である。
おしゃべりで寂しがりな大輔さん。同世代の女性との再婚願望はずっとあった。しゃべり相手というパートナーが欲しいのだろう。甲斐性はないけれど愛嬌と生命力がある人物なので、その魅力ができるだけ伝わればと思っていた。
晩婚さんたちのパートナー選びの基準は…
ちょうどその頃、妻の利佐子さん(仮名)は関西の職場で新型コロナウイルスと闘っていた。月の残業100時間と忙殺される日々。一人で亡くなっていく患者を目の当たりにして、「私もいつか死ぬ。この先、どうなるのかもわからない。ならば、誰かと一緒にいることをあきらめなくていい」と強く思ったという。
利佐子さんの経歴を振り返っておきたい。筆者は35歳を過ぎて結婚する人を“晩婚さん”と呼んでいるが、その晩婚さんたちは恋愛感情だけではなく、人生経験から得た教訓によってお互いを選び合うことも多いからだ。
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