「月収18万の男性」と見合い結婚した女性の"感性" 林業と看護師、2人が見つけた結婚の可能性

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その2週間後、今度は利佐子さんが泊まりがけで千葉県に遊びに行った。その間に大輔さんはプロポーズをして婚約へと進む。メールとZoomでのコミュニケーションを重ねていたので、性急だとは2人とも感じていない。

「利佐子さんとのメールのやり取りは、4月から今まで続いています。気が付けば610余のスレッドがありまして、まぁよくもこれだけ会話が弾んだものだと改めて感心しています。毎日Zoomで話もしていますから、結婚に至るまでのやり取りは相当密でした。それでも楽しいので、たぶん相性がいいのでしょう」

虫嫌いどころか、養蜂に挑戦したいという妻

お互いの地元を何度か往復し、9月末にはレストランで2人だけの結婚式を挙げた。新居はまだ決まっていないが、利佐子さんは長年勤めた職場を退職して地元を離れる意思を固めている。憧れの田舎暮らしを大輔さんとともに実現するためだ。

一緒に実家で暮らしている壮健な両親と息子は祝福してくれた。すでに社会人として働いている息子は、こんな言葉で送り出してくれたという。

「オレはもう大人なので、お母さんはどうぞ自由に生きてください。同じ人生なら幸せなほうがいいしな。オレはもうしばらくここで(祖父母の)お世話になります」

新居には2つの選択肢がある。現在、利佐子さんは東海地方の山間部にある自治体職員の中途採用に応募しており、受かれば大輔さんとともに移住予定だ。林業の本場でもあるので、大輔さんの研鑽の場にもなるだろう。そして、冬場はスノーボード三昧で暮らすつもりだ。

「受からなかったら大輔さんの住んでいる千葉県に行くつもりです。太平洋に近い場所なのでサーフィンを楽しめますから」

長く独身生活を謳歌してきた利佐子さん。でも、これからは仕事をセーブして、大輔さんとの時間を大事にするつもりだ。

「畑仕事も一緒にやりたいし、養蜂にも挑戦したいです。独身の頃は資格がなかったホストファミリーも大輔さんとならできるでしょう。民宿にしちゃってもいいな。森の中で鍼灸院をやりたい大輔さんの夢もかないます。私は受付係をのんびりやっても楽しそうです」

結婚相手に求める唯一の条件が、「自然の中で一緒に遊びたいので虫が苦手でないこと」だった大輔さん。利佐子さんは苦手どころか積極的に虫に関わろうとしている。養蜂は面白そう! と早くも目を輝かせている大輔さん、本当によかったね。

貯金はないけれど生活力と人懐っこさに満ち溢れた2人。田舎に行っても周囲の人に喜ばれる家庭を築けるに違いない。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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