中国人が日本で爆買い「海の黒いダイヤ」の正体 日本人はあまり口にする機会のない国産食材

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(写真:ひやま漁協提供)

メイドインジャパンの食材が元気だ。

2020年は世界的な「巣ごもり消費」もあって日本の農林水産物・食品の輸出額は、微増ながらも8年連続で過去最高を更新した。

2021年も、中国や米国などで外食の消費が回復したことで輸出好調が続いている。農水省が今月初旬に発表した8月の輸出額は前年同月比31%増の965億円。14か月連続で前年を上回った。

1-8月の累計は7705億円で前年同期1820億円の増加(30.9%増)だ。近年、海外で人気が高まっている日本酒と牛肉は、1-8月の累計だけで過去の年間最高額をすでに上回る好調ぶりだ。

輸出額の上位品目以下の通り。

①ホタテ貝 360億円 
②ウィスキー 341億円 
③牛肉 321億円 
④ソース混合調味料 271億円 
⑤清涼飲料水 262億円

輸出先は、中国1425億円(前年同期比41%増)がトップで、香港1395億円(同12%増)、米国1062億円(同45.8%)がつづく。

意外な人気食材、なまこ

食品輸出の好調はコロナ禍における数少ない明るいニュースである。中でも、意外な水産物が人気を博している。全国各地の海で見られる「なまこ」である。絶好調の日本酒や牛肉ほど派手さはないが、ここ10年間以上、安定した人気を維持しているのだ。

年間の輸出額は、2013年の227億円以降、おおむね200億円前後の輸出額をキープ。2021年も1-8月の輸出額は111億2000万円で、前年同期比0.4%増と底堅く推移している。

輸出先は8割近く(金額ベース)が香港で、その他は台湾や中国、シンガポールなどとなっている。もっとも香港で消費されるのは一部で、大半は中国本土へ流入していると見られている。

日本国内では、なまこ料理といえば、酢の物や珍味のこのわたが知られているが、一般家庭ではそうそう口にするものではない。せいぜい年に1、2回、中国料理店で煮込み料理などを味わうことがあるかどうか、といった食材である。ところが、中国では絶大な人気を誇り、とりわけ日本産の天然なまこ人気が高いという。

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