中国人が日本で爆買い「海の黒いダイヤ」の正体 日本人はあまり口にする機会のない国産食材

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檜山海参づくりの中心メンバーである乙部支所の日沼賢澄さんに、これまでの取り組み、そして今後の方針について話を聞いた。

「人口3800人ほどの小さな町で世界一の乾燥なまこをつくろうと漁協メンバーが一体となって種苗放流から、操業、密漁監視、加工・販売まで行ってきました。2018年に来道された李克強・中国首相の歓迎夕食会で檜山海参を使った料理が振る舞われ、首相から〝很好吃〟(とてもおいしい)とおっしゃっていただき、うれしかったですね。その後、この件をパネルにしてPRに用いたりもしました。

これまでは新千歳空港などでの中国人観光客向けの販売がメインでした。1箱10万円の商品を皆さん、何箱も買われていく。おひとりで17箱お買い求めいただいた方もいました。中国での人気の高まりを実感しました。最近は偽造品対策として商品にQRコードやシリアルナンバーを付けるなどブランド価値の保護にも力を入れています。東京のホテルのレストランでも扱ってもらっています。11月に大阪で行われる輸出展示会に出品して、本格的な輸出に向けての商談を行っていく予定です」

地域の人々が協力してつくり育てる漁業で、世界一の特産品づくりを目指す。ふるさとの資源を守り、ふるさとから特産品を世界に発信していく、新たなドラマが生まれようとしている。

全国で密漁が絶えない

コロナ禍になる前、千葉県の幕張メッセで開かれた輸出食品エキスポを取材したことがあるが、北海道の業者が乾燥なまこをブースに展示し、海外から訪れたバイヤーが熱心に商談を行っていた。日本産なまこの人気ぶりがうかがえる光景だった。

別名「黒いダイヤ」ともいわれる干しなまこは高級品ともなると驚くような高値がつく。国内の検索サイトでチェックしてみたら、「北海道産 乾燥なまこ 1㎏入り A級品」が36万8000円で販売されていた。100グラム当たり3万6800円である。なお、檜山海参は200グラム10万円ほどだ。

そんな高級食材だけに、全国各地で密漁が絶えない。今年になってからも北海道で200万円相当のなまこを密漁したとして11人が逮捕されるなど、摘発が相次いでいる。暴力団関係者などによる組織的密漁が後を絶たないようだ。水産庁は法律を改正強化して取り締まりに当たっている。

海洋環境が激変するなか、今後、沿岸部で育つなまこへの影響も心配される。資源保護と管理、そして密漁対策を徹底して、貴重な輸出食材を守っていってほしいものである。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログでは、最新の病状などを掲載中。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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