(第35回)【変わる人事編】企業人事、就職情報会社の営業、制作会社の編集はゆとり世代

●共通の文化基盤を失った日本で日本人は育たない

 もうひとつ考えなくてはならないのは、日本には文化や表現を伝えていく場が学校以外にないということだ。キリスト教圏でもイスラム教圏でも学校は唯一の教育の場ではない。教会では聖書やコーランを読む。日々の生活の中にも宗教は生きていて、食事の前に神への感謝を捧げる。聖書やコーランは、キリスト教徒やイスラム教徒ならだれでも知っている。ところが日本人は共通の文化を失っている。

 戦前の日本人なら「身体髪膚、これを父母に受く、あえて毀傷せざるは孝の始め也」「右顧左眄することなかれ」などの漢文の名句を暗記していたと思うが、もうそんな文化はかけらも残っていない。そもそも読めないし、意味を教えられてもわからないだろう。
 また、少年期の風景も世代によって異なっている。50代、40代なら幼い頃の体験や風景を共有しているかもしれない。川遊びやトンボ採り、そしてかくれんぼなどの遊びは懐かしい思い出だろう。いまの20代が過ごした少年期とはまったく違う。
 育った環境や体験が異なるのだからコミュニケーションも不可能だ。

 わたしに言わせれば、若者に違和感を抱く中高年が間違っている。若者は「同じ日本人」ではない。違う文化で育ったガイジンなのである。

●ガイジンとの異文化コミュニケーションのための演劇ワークショップ

 彼らは育った環境、価値観、行動パターンのすべてが違うガイジンなのだから、必要なのは異文化コミュニケーションなのだ。従来型の研修は同質の日本人に対して有効だったかもしれないが、ガイジンには通じない。従来型の教育では人は育ちにくくなっている。

 人事サービス業界で教育研修の比率は高く、専門業者が多いが、だいたいどこの業者の研修も似通っている。20年前からほとんど中身が変わっていない。時代遅れなのだ。

 とはいえ、最近では少し毛色の変わった教育システムが登場している。新人に研修を施すのは職場配属後に円滑に業務が遂行できるようにするためだが、新人とのコミュニケーションだけでなく、新人を受け入れる職場自体のコミュニケーションが淀みがちだ。そこで職場のリーダーたちの能力を研修で高めようとするものが増えている。
 これまでもこの手の管理者研修はあった。ただその中身は座学で行われ、観念的だった。コミュニケーションは実践するものだから座学では身につかない。

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