(第35回)【変わる人事編】企業人事、就職情報会社の営業、制作会社の編集はゆとり世代

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●揺らぐ日本語、間違いだらけの就活敬語

 NHKで今年4月から「みんなでニホンGO!」という日本語バラエティー番組が始まった。その番組で取り上げられたおかしな日本語は、たとえば、
 「伺わさせていただきます」
 「読まさせていただきます」
という「さ入れ」表現。いま増殖中で、国会答弁でもよく聞く。
 「食べれる」「見れる」の「ら抜き」表現はすでに定着してしまったように思う。「食べられる」「食べれる」のどちらを聞いても違和感のない人は多いはず。
 「さ入れ」はまだそこまで普及していない。
 「伺わせていただきます」
 「読ませていただきます」
と聞けば、こちらの方が正しいと思う人の方がまだ多いのではないだろうか。ただし、後10年経ったらどうなるかわからない。現代日本語は揺らいでいるからだ。

 欧米諸国に比べ、日本語の揺らぎは大きいと思う。もちろんメールが普及してからアメリカの若者は、文頭を大文字にしないメールを書くことが多いし、YouをUと書くこともある。筆記体を知らない若者もかなり多い。しかしこれらは文法の問題ではないと思う。日本語は文法がややおかしくなっているのだ。

 おかしい日本語の発生源は若者コトバだ。なぜ日本の若者の言葉はおかしいのか。理由はいくつも考えられる。ひとつには閉鎖的な集団では、その集団内部で通用する隠語が発生しやすい。企業にもその企業の関係者のみに通用する言い回しがあるし、学会や大学、学部によっても存在する。小学校、中学校、高校はきわめて閉鎖性が高く、特異な言い回しは発生しやすいし、流行しやすい。

 ただそれだけでは若者コトバは説明できない。昔の学生も友だち同士の会話コトバは使っていたが、目上の人にはきちんとした言い回しをしていた。わたしの記憶では、1990年頃までは間違いなくきちんとしていた。ところがいまの若者は、就活で使う日本語を参考書で勉強しないと使えなくなっている。日本人が適切な日本語を使えなくなっている理由を探してみると、ひとつしか思い至らない。すでに日本社会には正しい日本語がないのである。
 街のポスターには「ご注意してください」などという間違った表記が氾濫している。バイトに行けば「~の方でよろしかったでしょうか」というマニュアルを教え込まれる。先日のバンクーバーオリンピックでNHKのアナウンサーは「これは期待ですね」と話していた(「これは期待できますね」が正しい)。政治家の日本語能力も最低だ。

 若者が初めて日本語に真面目に取り組むのは就活の時だろう。就活本の定番コンテンツが敬語の使い方だ。ところがこの内容がひどい。間違った文例、適切でない解説が平気で書かれている。こういう本を書くライターは他の本から引用しており、間違いが伝播している。若手のライターも、編集者も国語能力のレベルは、就活学生と変わらないから間違いや舌足らずな解説がそのまま出版されている。もしかすると若手の人事もこういう間違った解説を鵜呑みにしているかもしれない。

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