アフガンからインド太平洋への重心移動
8月末、アフガニスタンからのアメリカ軍撤退は、バイデン政権が戦略の重心をインド太平洋に移したことを鮮明にする印象を与えた。その後のインド太平洋における地域内の合従連衡の動きを挙げてみると次のようになる。
9月15日 米英豪が3カ国安全保障協力(AUKUS)を創設
※AUKUSは豪州のA、英国のUK、アメリカのUSをつなげたもの。
9月16日 中国が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への加入を申請
9月17日 イランが上海協力機構(SCO)に加盟手続きを開始
※SCOは2001年に中露と中央アジア4国によって発足、現在インドなども加盟。
9月22日 台湾がTPPへの加入を申請
9月25日 クワッド(日米豪印4国による協力枠組み)が初の対面首脳会談を開催
クワッド首脳会談やAUKUSの創設、さらには欧州の海軍艦艇のインド太平洋派遣は、自由や民主主義を重視する国家による地域へのコミットメント強化の表れと見える。
一方で、中露を筆頭にした権威主義的な国家群も合従連衡の動きを加速させており、自由民主主義国家群と権威主義国家群の2つの勢力が競い合っているようにも見える。しかし、地域連携の内実は実に複雑で、参加国各々の国益が入り混じり、緩やかに連携していると捉えるのが適切である。
インド太平洋における地域連携枠組みとしては、古くは1967年に発足した東南アジア諸国連合(ASEAN)や1989年発足のアジア太平洋経済協力会議(APEC)など多くがすでに存在する。その地域連携構想の1つに「西太平洋連合」(WPU)が挙げられる。WPUについては最後に触れることとする。
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