感染しないようになるべく外出を控え、感染には気を使っているものの、通院などのために出かけなければならない用事もあります。
報道で感染者数の増加が日々報じられると、目に見えないコロナはそこかしこに潜んでいるように思えてならず、人込みのなかでは命の危険さえ感じたそうです。
「マスクをしていない人や、大きな声で話している人はまさに脅威で、その場からなるべく離れるようにしています」と水戸部さん。さらに、「夫にはもっと高い意識を持って感染対策をしてほしい。学校の感染対策もどこまでできているかわからない」と、苦しい毎日を送っていることが、こちらにも伝わってきました。
水戸部さんもそうですが、がん患者さんはコロナ禍で特に大きなストレスを抱えています。それは大きく、「コロナに対するリスク」「がん治療への影響」「面会できない」「自分の通っている病院が医療崩壊しないか」などに大別されます。
コロナに対するがんのリスクとは?
コロナに対するリスクでは、日本臨床腫瘍学会のウエブサイトに科学的なデータがまとめられています。それによると、がん患者はコロナに罹患しやすい可能性があり、また重症化して死亡する割合も、基礎疾患がない人に比べると5倍以上といわれています。
コロナ禍では、同じ呼吸器の病気である肺がんや、免疫力に影響する血液がんの患者さんは特に脅威を感じやすく、診療時には「私らがん患者にとって、コロナは本当に怖いですよ」という声をたびたび聞きます。
実際、コロナにかかると体に負担がかかるがん治療は基本的に中断せざるをえません。そのため、「抗がん剤を中断している間にがんが勢いを吹き返さないか」「手術を待っている間にがんが進まないか」といった焦りを覚える患者さんも、少なくないと思われます。
入院中に家族に会えないのも、患者さんにとっては大きなストレスでしょう。
現在、院内でのクラスター発生を防止するために、多くの病院では面会が制限されています。とくに終末期の患者さんの場合、人生の最後にいちばん大切な人と十分な時間を過ごせないわけですから、ご本人や家族のやるせなさはどれほどのものでしょう。
病院としても、オンラインで家族とつながれるようにWi-Fiを導入するなどの対策を講じていますが、やはりそれだけでは十分ではありません。
自分が治療を受けている病院にコロナ病床が開設される場合、「病院でコロナに感染しないか」という不安を抱く人もいるかもしれません。コロナ病床はきちんと感染管理が行われ、感染が広がることはありませんが、私が勤務する病院でも、コロナ病床が開設された際は、患者さんからは不安の声が聞かれました。
では、こうした不安に圧倒されないようにするには、どうしたらいいでしょうか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら