東映の経理から「科捜研の女」現場へ転身の道のり 有終の美を毎回飾る気持ちでいつも心に退職届

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せっかくやりたい仕事ができるようになったのに、「経理の部署に戻してください」って、頼もうとしたこともあります。

「会社を辞めたい」って思ったことなんて、本当に数え切れないほどある。この現場が終わったら絶対辞めるって言うぞって決めて、毎回作品づくりに挑んでいるといってもいいくらい。いつも心に退職届を持っています。

1回1回「有終の美を飾る」気持ちで働いてきた

でも、結局今プロデューサーになって10年目。何とかやれているし、大きな仕事も任せてもらえるし、実際に退職届は出していません。

(写真:Woman type編集部)

「これが最後だ」って自分に言い聞かせて、1回1回「有終の美を飾るぞ」っていう気持ちで働いてきたのが、逆によかったのかもしれない。

できないながらに「これが最後だ」って思ったら、どんないやな仕事もちょっと楽しくなってくるんですよね。それに、この先ずっと頑張れる自信はなくても、「これで最後」なら頑張れる。​​

それに、ドラマでも、映画でも、できあがったものをようやく誰かに見てもらえたときに、何とも言えない快感が待っているんですよ。見た方からいい感想を直接いただけたりしたなら、なおさらうれしい。

感覚としては、部活に似ているかもしれない。

中学高校時代、ダンス部だったんですが、練習ってつらいしきつい。次の文化祭のステージが終わったら辞めようと思って続けるんですが、ステージに立って観客の歓声を聞いた瞬間、その快感で辞めたかった気持なんかすべて忘れてしまう。

で、また半年「次で辞めよう」と思いながら練習を続けるけどステージに立ったらその魔力でまた……。一種のステージ中毒ですね。​​この仕事も、​​そうやって走り続けてきた感があります。

「向いてないこと」をするのは正直つらいけど、失敗することには正直慣れました(笑)。そこは、経験と年齢でしょうか。

まぁ、ミスって怒られても、自分が悪いことならちゃんと謝って、尻拭いすればいいじゃん、と。理不尽に怒ってくる人がいるなら、それは相手にしなければいいだけですし。

(写真:Woman type編集部)

20代の頃なんかは、ちょっと失敗したり怒られたりしただけでキャリアが汚れたような感じがして、いちいち落ち込んでいたんですよ。

でも、今は「汚れた」なんて思わないし、仮に汚れても「壊れなきゃ別にいいや」くらいの感覚。いい意味でのずぶとさっていうのは、長く仕事を続けるうえで大事な気がしますね。

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