売れ筋飲料「茶系、炭酸、有糖・無糖」の選ばれ方 その時の気分で「リラックス」と「リフレッシュ」

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紅茶で最も強い「キリン 午後の紅茶」は1986年の発売以来35年。日本で初めてのペット容器の紅茶(発売時は1.5リットル)として、手淹れで手間がかかるアイスティーを再現した。

「今年7月の販売実績は、レギュラー(ストレートティー・ミルクティー・レモンティー)3品が好調で、おいしい無糖も2割増、ブランド全体では対前年比104%となっています」

広報担当の安平裕太郎さん(キリンホールディングス コーポレートコミュニケーション部)はこう説明し、ブランドのこだわりを次のように明かす。

「35年で商品ラインナップ、容器サイズは拡大し、ホット飲料も投入しましたが、『茶葉から淹れた紅茶のおいしさ』と『紅茶の飲用シーンを拡げる』を大切にしています。

また、ブランドロゴには発売時から『アンナ・マリア』(7代目ベッドフォード公爵夫人。アフタヌーン・ティーの習慣を始めた存在)と明朝体の文字表記を採用しています」

意外にも、紅茶市場では「有糖カテゴリーがシェア約8割」だという。「無糖も成長しており『午後の紅茶 おいしい無糖』も好調ですが、有糖紅茶しか飲まない消費者も約6割おられます。ブランドとして、さまざまなお客さまニーズに対応しています」(同)。

商品別では「ミルクティー」が人気ナンバー1。免疫ケアのためにプラズマ乳酸菌を配合した「ミルクティープラス」も10月に発売する。消費者から“午後ティー”と呼ばれる親しみやすさもブランドの強みだろう。

発売以来、紅茶飲料市場をリードしてきた「キリン 午後の紅茶」の商品ラインナップ(写真:キリンビバレッジ)

手軽な気分転換に「炭酸」は欠かせない

気分転換には欠かせない炭酸飲料も健康志向を反映している。

「ウチの夫は風呂上がりに(無糖の)炭酸水を飲む機会が増えました。炭酸飲料でスッキリしたいけど糖分摂取が気になるようです」(30代の女性会社員)

通勤で歩く機会も減った現在、こんな声に象徴されるのだろう。

その炭酸水をリードするのが「ウィルキンソン」(アサヒ飲料)だ。炭酸水では約5割のシェアを持ち、発売は明治時代という百年ブランド(117年)。2008年から2020年まで13年連続で伸長した。競合も参入した結果、店頭の棚が「線」から「面」へと広がった。

「好調の要因はいくつかあります。まず炭酸水は味がないゆえに、飲んだ瞬間にダイレクトな刺激がある、ど真ん中の飲料なこと。消費者が、炭酸飲料でリフレッシュしたい思いは昔からありましたが、ストレス解消への思いは、より強まったと感じています」

同ブランドを担当した本松達朗さん(当時アサヒ飲料 マーケティング本部マーケティング一部 炭酸グループ副課長。現在はアサヒグループ食品)は以前の取材でこう話したが、今も基本は変わらない。

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