下の写真は被害の大きかった八代市坂本地区で撮影したものだが、谷をまたぐ作業道をつくるときに管によって排水処理を行おうとしたものの流出した土砂によって目詰まりしている。
球磨川の上流域である、水上村、五木村、多良木町、人吉市へ向かう林道を調査すると、皆伐地の崩壊箇所が数多くある。かなりの土砂量が出ている。それらの土砂は球磨川に入り、川底での堆砂が進み、洪水の原因になっている。
一方で林業施業は改善されてはいない。阿武隈川流域(宮城県丸森町が所属)でも、球磨川流域でも「上下流・本支川の流域全体を俯瞰し、国、県、市町村が一体となって流域治水を実施する」ことになっている。
「災害の火種を」作り、「火消しに奔走」
【2021年9月27日12時45分 追記】記事初出時、皆伐面積について誤認識がありましたので、修正いたします】
しかし、球磨川流域では、土砂災害が派生した場所の上流部で、伐採が進んでいる。大型の機械を用いて、1日で50ヘクタール以上を皆伐し続けている。これが第2、第3の災害を引き起こす可能性がある。
一度崩れた山は崩れ続ける。砂防堰堤を作るしかないが、それはすぐに埋まってしまう。対症療法にしかならない。「災害の火種」を自分たちでつくり、自分たちで砂防ダムをつくるなど「火消しに奔走」している。
こうした現状から脱却すべきだ。流域治水の実効性を上げるには、流域全体における土地利用を見直す必要がある。特に山間地の土砂災害が及ぼす影響に十分配慮し、流域自治体相互の連携を深める必要がある。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら