無謀な森林伐採が「土砂災害」を招いている事実 林業が山間部の災害に与える小さくない影響

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次に、2020年7月豪雨災害についても調査を行った。球磨川流域では50人が亡くなり、現在も2人が行方不明のままだ。

ここでも雨量、地形・地質、土地利用という観点から考えてみる。まず、大雨をもたらす線状降水帯に流域全体が覆われた。気象庁によると線状降水帯は東西276.5キロにおよぶ過去最大規模のものだった。7月3日午後9時〜7月4日午前10時の13時間にわたって熊本、宮崎、鹿児島にかかり、総降水量の最大値は653.3ミリだった。ここでも「想定外の雨が災害の原因」という報道が多かった。

地形や地質を考えると、球磨川流域では降った雨が、谷筋から支流に入り、人吉盆地で球磨川本流に合流する。また、もともと崩れやすい地層で、雨が降ると土砂災害が発生したり、川底での堆砂が進み、洪水を誘発する。

最後に土地利用(林業)だ。自伐型林業推進協会による調査によると、球磨村の183の崩壊箇所のうち、皆伐地が82件(45%)、林業の作業道、林道・公道起因の崩壊が90件(49%)、放置人工林や未整備林の自然崩壊は11件(6%)だった。

(出所)自伐型林業協会調査

崩れ方はさまざま

筆者は2021年9月に球磨川流域へ行き、作業道の崩れ方を調査した。崩れ方はさまざまである。たとえば法面の崩壊だ。道幅を確保するために切土(アカ色)が高くなり、また盛土(黄色)が水分を含むことにより崩壊が発生していた。

(筆者作成)

また、本来は水が流れる谷なのに、水の流れを無視して道を作ったため、豪雨時にその部分が崩れたケースもあった。水の流れを予想して管を道路の下に入れておいたが、脆弱な土壌がパイプのなかにつまり、豪雨時に道を吹き飛ばしたケースなどさまざまだ。

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