一方で、リーマンショック時とは大きく異なることも事実だ。なぜなら、銀行システムは、リーマンショック後、欧米では規制が強化され、かなり保守的に運用されているからである。しかし、銀行システムの破綻がなくとも、株価は簡単に暴落する。上がりすぎたものは大きく下がる。2000年のテックバブル崩壊と同じことである。
しかも、テックバブルは経済社会へのダメージが小さかったことと異なり、今回、もし暴落すれば影響はとてつもなく大きくなるだろう。なぜなら、金融バブルが崩壊すると、経済や市場のいちばん弱いところから破綻していくからだ。
リーマンブラザーズは破綻したが、結局は同じ金融大手でもゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは破綻しなかった。ただし、サブプライム問題でも2006年にはすでに問題を来していたが、プライム市場は破綻しなかった。大手金融も当初は大丈夫だった。サブプライム関連企業とサブプライムローンを借りていた質の悪い借り手が破綻しただけであった。しかし、それが翌2007年のパリバショックになり、2008年のリーマンショックへと連なり、強いはずの別の業種の企業まで破綻していったのである。
今、もっとも弱っているのは政府・中央銀行
今回は、コロナバブルにより、格差はあらゆるところで広がった。ワクチンがすすんでない途上国、弱小国は回復が大きく遅れている。その多くの国は通貨も財政も弱いから、アメリカの回復により金利が上昇し、通貨安となり、負債返済に行き詰まるだろう。そして世界的に不況が広がっていく。
中国は、特殊な部分もあるが、不動産のバブルは大きすぎて、必ず、どこかのタイミングで、破綻がやってくる。そのときには、先進国も影響を受けるだろう。常に弱いところからやられるのだから、先進国も弱いところからやられるだろう。
問題は、今、先進国でいちばん弱っているセクターはどこか?ということである。それは、金融緩和を大規模に行い、巨額の財政出動をしている政府である。つまり、先進国に危機が波及したときに、やられるのは、政府か中央銀行のどちらか弱いほうであり、しかも政府と中央銀行の関係性からいけば、片方がやられれば、もう片方も沈没するのは必然である。
したがって、私は、今回のバブルは、銀行セクターが比較的頑健で、なかなか世界的な銀行危機にはならないが、その分、バブルはさらにふくらみ、そのしわ寄せが、政府や中央銀行に津波のように押し寄せ、リーマンショックよりも遥かに大きなバブル崩壊になると予想している(ここで本編は終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを展望するコーナーです。あらかじめご了承下さい)。
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