そして22日。予想以上に、FOMCの声明はタカ派だった。普通ならこれで売られそうなものであるが、今回はともかくFOMCが終わった、ということ、そしてほかの投資家たちも今は投げ売りをするのではなく、少しだけ売ったことがはっきりしたので、売った分を買い戻す動きになった。
今回の急落の理由は「株を売りたい」がすべて
つまり、今回の世界的な株価の急落は、中国の不動産業界の状況とはまったく無関係で「株をそろそろ売りたい」という投資家がほとんどであったことが理由のすべてだ。そして、誰もがネガティブだと思う、コンセンサスが明らかに成り立つニュースに反応して、ほとんどの投資家が売ったということである。
とにかく不動産のニュースや状況の中身はどうでもよかった。だからこそ、どこまで売るかは、ほかの投資家がどこまで売るか、すなわち、どのくらい下がるか、にかかっていたのである。だから、投資家同士のにらみ合いになり、2日間かけて下落幅を確認していったのである。
そして「中国の不動産」というのは、きっかけや合図にすぎないから、本当に重要なニュースは、アメリカの中央銀行であるFEDの意向であった。だから、そのニュースを待ったのである。
そもそも株価はなぜ下がるのか?それは、誰かが売ったからである。
株価下落の理由はこれ以外ありえない。それなら、その次の質問は、なぜみんな売ったか?ということであるが、これも答えはひとつしかない。
株価が上がってきたからである。
下がる理由はひとつ。その前に上がったからである。上がった後しか下がらない。下がり続けているときは、誰も「なぜ下がった?」と聞かないから、下がった理由を探しているときであれば、その答えは必ず「その前に上がっていたから」ということになる。これまた、これ以外の答えはありえない。
この2つの大原則。これが、行動ファイナンスにおいて、私が考える最も重要な原理である。「そんなの当たり前だ」とみなさんは言うかもしれない。だが、それはまったく違う。当たり前でないのだ。
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