しかし、これがバブルの完全崩壊につながるかどうかわからない。なぜなら、自分もこのニュースのインパクトがサイズとしてはわからない。ということはほかの投資家にもわからないだろう。だから、投げ売りになるかどうかはわからない。したがって、様子を見ながら売ってみよう。こんな具合だ。
この結果、20日のアメリカの株式市場は、寄りつきから下げたが、下げを拡大して行ったのである。取引時間中に、とくに新しいニュースは出ていない。それなら、ファイナンス理論どおり、ニュースはすぐに株価に織り込まれるなら、寄りつきでみんな売って、その後はモミ合いになったはずだ。
急落後の21日が小動きになったワケ
だが、当日は、ほぼ1日ずっと下げ続けた。そして、引け際に買い戻しが入り、少し戻して終えた。最後の戻しは、デイトレード的に空売りを仕掛けた人々が手仕舞いしたことによると思われるが、ほぼ1日下げ続けたのは、ほかの投資家がどれほど売りたがっているかが不透明だったので、それを確認しながら少しずつ売ったというところだろう。
すなわち、このときに重要なのは、恒大集団の深刻度合いではなく、ほかの投資家がどれほど売りたがっているか、ということがすべてであったのである。
したがって、不動産危機の深刻度、というファンダメンタルズに関する情報は重要ではなく、投資家たちがどれほど売り意欲があるか、およびどれほど「売り」という行動に動くか、ということが重要だったのである。
そして、それは1日でわかった。となると、翌日からは、あまり不安はない。ただ、みなが売ってから翌日に話し合いの結果売ってくるような「動きの遅い」機関投資家もいるから、その様子を見ることが必要だった。それが、21日の小動きとなった。
さらに、もうひとつの大きな要因として、アメリカでのFOMC(連邦公開市場委員会)の声明が22日に公表される、ということがあった。アメリカの中央銀行であるFED(連銀)のテーパリング(緩和縮小)の開始時期、利上げの開始時期、これに関する情報が市場ではもっとも重要だった。その情報が22日に出てくるのをみな待ちたかった。それが動きのなさにつながったのである。
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