「私が社会人になった年に祖父が亡くなり、そこからは、母、祖母、私の女3人で暮らしていました。その祖母が昨年、亡くなったんです。祖父が死んだときも悲しかったけれど、私も若かったから、自分のこれからの人生について特別考えることはなかった。でも、祖母が亡くなって、“人の命って限りあるものなのだな“というのを痛感したんです。もし母が亡くなったら、私はひとりぼっちになってしまう。急に心細くなって、これからの人生を一緒に歩んでいけるパートナーが必要なんじゃないかと考えるようになったんです」
こうしてスタートした婚活だった。
登録して2週間経つも活動せず
童顔でクリンとした瞳が印象的なめぐみは、年齢よりもずっと若く見えた。また、今の婚活市場では、36歳はたくさんの見合いが組める年齢だ。サイトに登録すると、連日驚くほどの申し込みがかかった。
だが、めぐみはどれも受けようとしなかった。また、自分から申し込もうともしない。登録してから2週間が経ち、活動をする気配がないので、一度面談をすることにした。
申し込まれているお見合いのなかから、仲人見でよさそうな人を選び出し、めぐみに勧めてみた。
「このメーカー勤務の男性は、どう?」
「この方、長男で一人っ子だから、将来的に親御さんの面倒を見ないといけないですよね。それに、住んでいる場所がちょっと遠い。母を置いて嫁に行くわけですから、母に何かあったときに、すぐに様子を見に帰れるところに住みたいんです」
「この国家公務員さんは?」
「10も年が上で、もう50歳が見えていますよね。50歳って、なんかオジサンに思えて」
「こちらの男性は?」
「年収が低いかなって。それに高卒だし。私が大卒だから、やっぱり大卒の人がいいです」
あれこれと理由をつけて、誰とも会おうとしなかった。そこで、私は言った。
「まずは、お会いしてみないと何も始まらないですよ。例えば、めぐみさんの挙げている条件をすべて満たしている人がいても、お会いしたら全然考えていたのとは違ったという場合もある。プロフィールというのは条件が提示されているだけで、お人柄はわからない。理想ばかり追うのではなく、どんどんお会いしてみましょう」
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