「水ETF」投資がやたら注目されるようになった訳 気候変動の影響が反映され次代の投資テーマに

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経済協力開発機構(OECD)の「OECD Environmental Outlook to 2050(2012年版)」によれば、深刻な水不足に苦しむ人は2000年から2050年にかけて南北アフリカだけで23億人増加し、2050年には世界の人口の約4割にあたる39億人が深刻な水不足に陥る河川流域の人口になると予想されている。そのうち2億4000万人以上の人が上水道すら利用できない状況になる見込みだ。

2000年時点の世界の水需要は約3600立方キロメートルだった。このうち農業用に使われる灌漑(かんがい)用水が3分の2を占めていた。ところが、水需要の構造は2000年から2050年の半世紀の間に大きく変化。製造業の工業用水がプラス400%、発電用水でプラス140%、生活用水プラス30%がそれぞれ増加すると見込まれ、地球全体で水の需要は55%増加すると見込まれている。

もともと、農業用水を中心としてきた水需要の構造が、この50年で大きく変わり、工業用水、発電用水の需要が主体になると予想されているわけだ。人口増加による、生活用水の増加を大きく上回る勢いで伸びるとみられている。人類が豊かになり、さまざまなハイテク機器を使うようになり、それに伴って電力使用も増えていることが原因だ。

水力発電を主なエネルギー源としているブラジルでは、今年100年ぶりの水不足に見舞われて、水力発電から火力発電への切り替えで代替燃料として使用している液化天然ガス(LNG)の国際価格が急騰した。

半導体生産に欠かせない「超純水」の需要が増加

そして工業用水の中でも、半導体生産に欠くことのできない純度の高い「超純水」の需要がとくに大きく増えている。今後、半導体生産によっても水不足が深刻化するのではないかと懸念されている。きれいな水が必要とされる工業用水のニーズは年々高まる可能性が高い。

一時期、北海道などの水源地を中国などの海外の投資家が買いあさっている、という報道があったが、水不足の将来を考えれば当然の投資行動といえる。

昨年4月にはエチオピアが進めているナイル川のダム建設をめぐって、エチオピア、エジプト、スーダンによる国際紛争が巻き起こっている。2019年には、インドとパキスタンの間に流れるインダス川が、国際紛争の武器に使われたと報道された。

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