例えば、「挨拶編」では、挨拶をするときの相手との距離やお辞儀の角度を伝える。
また、「表情編」では、話すときに眉毛を動かすと相手の心を惹きつけ印象に残りやすいこと等、表情の大切さをレクチャー。また、「身だしなみ編」では、清潔・機能的・調和が原則のオフィスでの服装などを丁寧に教えた。
こうしたことを教える中で、例えば、立つときは片足を半歩前に出して、手をお腹の前でクロスし、相手に何も抵抗しないという意志を伝えられることなども、ロールプレイを交えて説明する。
さらに「言葉遣い」では、敬語の基本などをわかりやすく説明。最後の「態度」では、例えば会話するときは相手に向かって体を正対させるが、その際正面に立ってしまうと相手に威圧感を与えてしまうことなどがレクチャーされた。
日本のマナーは本当に "too much"?
セミナーを担当したパソナの執行役員・市川知之氏によれば、ベトナム、インドネシアともどちらかといえば「親日国」であり、かつ日系企業で働く従業員が対象だったこともあるが、実践練習のときには、特に盛り上がったという。
ともすれば日本流のマナーは "too much" と思われかねないが、現地では好意的に受け取られたようだ。例えば参加者が驚いたのは「名刺は相手から受け取ったら、自分の名刺入れをお盆代わりにして置く」というマナーと、その背景にある「名刺はその人の分身であり顔」という考え方だという。また、「お辞儀はその角度によって意味が異なる」ということも、レクチャーして驚かれたという。一方、「尊敬語」や「謙譲語」といった概念は、彼らの母国には存在しないため、理解してもらうのは、やはり難しかったという。
同氏が「意外だった」と話すのは、サービス業の他に、衣料品や医療機器、サニタリーなどを製造する「メーカー」の工場で働く従業員が積極的に講習を受けに来たことだという。
そうした企業の担当者からは「社内でもマナーについて注意することはあるが、日本人とは文化が異なるし、国全体も若いので、マネジメントをする側もされる側も慣れていないため、浸透しづらい」といった感想が寄せられた。また、「日本流のマナーを学ぶことで、組織の規律を守ったり、仕事における改善を図ろうとする意識が芽生えるのではないか」という、期待の声も聞かれたという。対顧客だけでなく、従業員同士のコミュニケーションにおいてもマナーを重視する気運が高まっている。
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