女子高生いじめ自殺事件の真相を追うドキュメンタリーディレクターの由宇子が、父から聞いた”衝撃の事実”。由宇子は、究極の選択を迫られることになる――。
瀧内公美、光石研、河合優実、梅田誠弘、丘みつ子ら実力派キャストが集結し、情報化社会を生きる現代人が抱える問題や矛盾を真正面から炙り出した『由宇子の天秤』が9月17日より渋谷ユーロスペースほかにて全国順次公開されている。
同作は、世界三大映画祭の一つである、第71回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門にノミネートされたほか、世界中の映画祭で公開され、高い評価を得ている。そしてこの作品には長編アニメーション『この世界の片隅に』の片渕須直監督や、『ゴーヤーちゃんぷるー』『ソ満国境15歳の夏』の松島哲也監督がプロデューサーとして参加していることも話題となっている。
先の読めない巧みな脚本、観る者をくぎ付けにする役者陣の熱演、そしてラストに観客が突きつけられる究極の問いかけなど、その冷徹な語り口が高い評価を受ける春本雄二郎監督に話を聞いた。
想像力が欠如している現象に興味をもった
――映画を作ろうと思った経緯を教えてください。
2014年に、ある小学校のいじめ自殺事件の加害者の少年の父親と、同姓同名のまったく関係ない他人が実名や職場をさらされるという事件を知ったことからです。いじめの自殺事件自体は知っていたんですが、その事件は知らなかったので、こんなところまで発展してるのかと驚いてしまったんです。
すごい時代になってしまった、なんでこんなことになるんだろうかと思いました。SNSで攻撃してしまう人たちって、その情報の真偽を確かめないんだろうか。何でそうした人たちが現れてしまうのだろうか。なんで自分とは関係ないのにここまで叩けるのだろうかと。
そうした想像力が欠如している現象にものすごく興味を持った。また、もちろん加害者が悪いのはわかりますが、家族まで責められるのはなぜなんだろうとか。そうしたことを映画にしてみたいなと思ったんです。
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