教えて!わくわくさん「仕事の夢中」の見つけ方 30年以上工作に没頭、久保田雅人さんに聞いた

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そんな状況だったから、始まってしばらくはほかの仕事も続けてたんだよ。でも、番組が始まって3年経ったとき、「これからはわくわくさん一本に賭けよう」ってようやく腹を決められたんだ。そのときから、ほかの仕事はいっさいやらないことにした。怖かったですよ、長女が生まれる直前だったから。でも、3年続けてきたからこそつかめた手応えがあったんです。

番組が始まって最初の頃、私のセリフや動きはすべて番組スタッフの指示どおりでした。でも、3年目になると自分の意見が通るようになってきた。ゴロリとのかけあいもすごくよくなってきた。それでやっと、わくわくさんという役に夢中になれたんだ

わくわくさんという役に夢中になれた後は

ただ、自分の納得いくレベルに達したわけではまったくなかった。『つくってあそぼ』は、子どもたちに「面白い!」って思われるだけだけじゃダメなんです。「よし、やってみよう!」と思ってもらわなくちゃならない。はたしてどうすれば子どもたちをそこまで乗せられるのか。

スタジオの中に子どもはいませんから、自分で営業をかけて幼稚園を回り、実際に工作をやってみせました。子どもは残酷ですよ、面白くなければまったく反応しませんから(笑)。子どもたちの反応をインプットし、アウトプットすることを繰り返してきた結果、自分の中で再びつかめたものがあったんです。その瞬間に到達するまで、さらに3年かかったな。

そしてようやく、自分が納得できるぐらい、子どもたちに工作の楽しさを伝えられるようになってきたと実感できた頃には、わくわくさんを始めて10年が経っていたんだ。

(写真:『エンジニアtype』)

振り返ってみると、養う家族がいながら退路を断ったのは、ある意味本当にバカだったと思う。自分のことを「手先は器用、生き方不器用」だって思いますよ。でも、夢中の人生を歩むしかない状況に自分を追い込めたからこそ、つねに上を目指してこれたと思うんだな。

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