製作者が明かす『宇宙兄弟』の舞台裏 「ゴールデンの放映ならこの作品しかないと思った」

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――アニメは日本の文化だという声もありますが。

日本の文化だと言われているのに、かなり違う道を歩んでいるように思います。実際、海外では一部の作品以外、ほとんど放送されていませんからね。一部のアニメ好きな人たちが配信で観ているだけですからね。海外で放送されているのは、『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『ちびまる子ちゃん』『NARUTO -ナルト-』『名探偵コナン』くらい。最近ですと『ワンピース』が増えていますが、それくらいですね。日本の文化というのはちょっと違和感を感じます。

あらかじめ翻訳し、現地で直接売り込む

――そういった意味で『宇宙兄弟』の海外展開はどうでしょうか?

©宇宙兄弟CES2014

アニメを海外に売るということは、まずは日本から海外の代理店に渡すのです。そこから代理店がその地域に売って回るのですが、その代理店が抱えるアニメはたくさんあります。『宇宙兄弟』だって、たくさんあるアニメの中の1本にしかすぎないわけです。しかもその代理店には、日本だけでなく、もっとたくさんの国から多くのアニメが集まっている状態です。現地の営業の人間に愛情がなければ、売れるわけがありません。

われわれも、以前はそのまま代理店に任せていたのですが、やはり作品に近い人のほうが愛情があるので、関連会社の読売テレビエンタープライズから直接売りに行けるようにするようにしました。ローカライズでも、先にこちらで翻訳もしてしまったほうが、話が早い。翻訳されていないと、現地の放送局も翻訳コストがかけられないので、案件が動かないことが多い。あらかじめ翻訳しておけば動きやすい。ここ2~3年はそういうことを心掛けています。

――その成果は?

翻訳しているため、今までの作品よりは海外に出ていると思います。ただ、環境の変化というのもあり、今までずっとアニメ番組を放送していた放送局が、突然、これからはアニメをやらない、といったこともあるので、一概には言えませんが。

――翻訳がなければ減っていたかもしれなかった?

 そうですね。基本的にこの作品は、10年、20年と生き続ける作品だと思っているので、長い目でみて、いつまでも回して行けたらいいなと思っています。

――『宇宙兄弟』はどこの国で放送されているのでしょう?

韓国、台湾でまず放映されています。ようやくインドネシアでも放送が決定しました。あとは香港ですかね。ほかにも北米、中南米、フランスなどで配信され、アラビア語圏とかも日本で吹替版を作る作業しています。

――映画になったら売りやすい、といったことはあるのでしょうか?

それは関係ありません。それよりも放映回数なんですよ。海外は1年単位なので、50~52話以上ないとダメですね。だからワンクール(四半期)の12~13話しかないアニメは売りにくいのです。

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