産業リサーチ(証券) 4大メガバンクがガリバー野村を包囲

株や債券、投信などのリスク商品に個人資産はシフト、資産運用の担い手は銀行から証券会社に移る、と言われ続けて久しい。が、個人金融資産1400兆円のうち、証券界が預かる資金はわずか1割強。業界ガリバーの野村証券グループですら預かり資産は50兆円にすぎない。約300社の証券会社がそれぞれ限られた顧客に売買を仲介しているのが実状で、インターネット専業を含め新規顧客の開拓は思うように進んでいない。
 しかし、それでも証券界の役割を軽視できないのは、資本市場の根幹をなす有価証券の売買を扱う法人部門があるから。この法人部門を軸に業界の勢力図を示した。野村グループを四大メガバンク(三井住友、三菱東京、みずほ、UFJ)が包囲する構図が浮かび上がる。この包囲網は、ここ3年ほど四大メガバンクが親密な上場証券会社に資本増強して経営権を握ったことで、急速にできあがった。
 一方、三大証券の法人部門では、大和が三井住友銀行と、日興コーディアルが米シティグループと合弁で展開。野村だけが、内外多数の企業群を統括するグローバル・ホールセールという独立体制を敷いている。
 従来、証券会社の法人部門は会社の株式公開や、債券発行の引き受け(アンダーライティング)業務を主体にしてきた。が、ブローカー業務は市況の低迷と外国系証券会社の参入もあり、一部の優良案件を除くと単価が低下、収益を稼ぎにくくなった。
 そこで、各社がグループの総力を結集、力を入れ始めたのが、投資銀行(インベストメント・バンク)業務である。不振企業やベンチャーの経営支援や、不動産再開発のスキーム(仕組み)を提案実行するが、場合によっては自己資本も投じ、その価値を高めて売却する手法だ。
 米投資銀行大手のゴールドマン・サックスは三井住友フィナンシャルグループに対して1500億円の出資(優先株取得)を発表。米証券大手のメリルリンチもUFJホールディングスの不良債権処理子会社に1000億円(優先株取得)を出資する。野村と四大メガバンクが覇権争いを繰り広げるなか、これらの欧米大手金融グループがどこまで経営にコミットするのか。これが注目点となりそうだ。

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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