京都を襲う「大借金・人口減・観光壊滅」の三重苦 古都・文教都市に特有の制約も税収増の障壁に

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市は6月に再生に向けた「行財政改革計画案」を市民に示し、8月に「行財政改革計画」を公表した。市職員の人件費削減、バス・地下鉄の「敬老乗車証」をはじめとする行政サービスの見直し、民間保育園職員の給与に対する補助金の見直し、保育所や学童クラブの利用料の改訂などで2025年度までの5年間で1600億円の財政改善を目指すといったものだ。

市が6月から7月にかけて行った市民への意見募集には、なんと9013件もの意見が寄せられた。

  • <計画を全体としてみると、具体的な内容に全く言及されておらず、評価に値しない>
  • <市民サービスがどうなるのかを最初に述べた方が分かりやすい>
  • <市長自らが失政を認めて、市民に事業見直しへの協力を求めなければいけない>

厳しい声が目につく。コロナ禍が長期化し、先行き不透明感が強まる一方という状況だけに、市の楽観的な改革計画に市民の多くは懐疑的なようだ。

京都の控えめ?な「成長戦略」

世界の京都は、はたしてこの三重苦を乗り越えられるだろうか。

問題は、3つの危機すべてがリンクしていることに加え、長期化・拡大化するコロナ禍の終息時期がまるで見通せないことだ。市の改革計画にしても、コロナ禍の影響がなくならない限り、実現可能性はなかなか見えてこない。

市の改革計画を見ると、前述の経費削減案に加え、次のような目標が掲げられている。いずれも2033年度において、

※個人市民税の納税義務者数 2020年度から4万人増加(2019年度67万人)
※市内総生産 2020年度から6000億円増加(2018年度6兆6292億円) 
※新築住宅着工戸数 2020年の9284戸から1万戸/年へ
※中古住宅の流通(売買)戸数3000件/年
※産業用地創出面積 45ha創出 など

今後5年間で財政を見直し、再建の道筋をつけたうえで、成長戦略をということなのだろう。この成長戦略で一般財源収入を100億円以上増加させる、としている。目標の数値だけをみると随分と控えめな成長戦略に思えるが、これとて本当に実現可能かどうかは未知数である。

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