京都を襲う「大借金・人口減・観光壊滅」の三重苦 古都・文教都市に特有の制約も税収増の障壁に

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三重苦の2つ目、観光客数の減少について見ていこう。

年間観光客数が5600万人(日本人+外国人)を超えていた2015年をピークに、京都の観光客数は2018年まで微減し5275万人に。2019年は5352万人に盛り返したが、コロナ直撃で2020年は統計さえ集計できない状況となってしまった。(データ出典は京都市観光協会)

京都の街からインバウンドが完全に消えた。「外国人宿泊ほぼゼロ」が2020年4月以降15か月続いている。

最新の状況も厳しい。2021年6月のデータは次の通り。

  • 日本人延べ宿泊数   2019年6月比  43.3%減
  • 外国人延べ宿泊数      同    99.8%減
  • 主要ホテル客室稼働率 20.6% (同60.2ポイント減)
  • 客室収益指数     1857円 (同 82.9%減)

惨憺たる数字だ。インバウンド消失だけでも大打撃なのに、毎年安定した収入源になっていた修学旅行も激減(前年比77.6%減=2020年)した。さらに一般の日本人観光客も半減。ひところ大問題となった観光公害は解消されたが、世界遺産の街の観光はまさに閑古鳥状態だ。

今後5年間で「2800億円」財源不足懸念

最後に三重苦の3つ目、借金返済について見ていこう。

自治体の財政の健全性を測る指標に「将来負担比率」(現在抱えている負債の大きさを、その地方公共団体の財政規模に対する割合で表したもの)があるが、京都市は2019年度、その指標が政令指定都市の中で最下位だった。

最大の原因は、バブル期に建設した地下鉄・東西線の建設コストと収支見通しの甘さで、市が赤字額約1000億円を一般会計から穴埋めした(2004-2017年)ことと指摘されている。

加えて、歳入面にも構造的な問題を抱えている。高齢化に加え学生人口が市全体の1割という大学の街という特殊な構造のため就業層の割合が低く、人口に占める納税義務者の割合が43.1%(2019年度)と政令指定都市で最低なのである。また市内は、景観保護で高層マンションが立てられないため、固定資産税も増えにくい。また、市内に多くある神社仏閣は固定資産税がかからない。

そこへコロナ禍に見舞われた。2021年度予算の財源不足236億円のうち、コロナ禍による影響は123億円に及んだ。こうして今後5年間で2800億円の財源不足が生じる見込みという破綻寸前の状況に陥ってしまったのである。

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