京都を襲う「大借金・人口減・観光壊滅」の三重苦 古都・文教都市に特有の制約も税収増の障壁に
懸念されるのは、12年後のことよりも、すでに財政難から一部の行政サービス低下が指摘されている点だ。
実際、財政難から新規受け入れを停止した市営の保育所がある。中京区の聚楽保育所だ。民間に移管予定だったのだが、事業者が辞退したため、市は新規受け入れを中止するなど混乱が続いた。市は5月議会に同保育所の廃止条例案を上程し、6月1日に市議会で可決された。
市のホームページには「京都市聚楽保育所は、令和9年4月1日に廃止します。このため、新規入所児童の受入れは行いません」と記載されている。行政サービスの低下はすでに始まっているのである。
子育てに関しては、前述のように行財政改革計画の中に、民間保育園職員の給与に対する補助金の見直し、保育料や学童クラブの利用料の改定等が盛り込まれている。子育て世代の負担増が予想される内容だ。
人口流出に歯止めをかけられるか
今後、コロナ対策にかかる費用が膨れ上がる中、インバウンド経済の回復も見込めない。市民の反対が予想される改革案の実行にはある程度時間を要するものとみられ、財政立て直しは容易ではない。
そこに行政サービスの低下や市民負担増加という事態が加われば、財政再生団体に転落した夕張市のように人口流出に拍車がかかるおそれもあり、京都市が直面する「三重苦」は負のスパイラルに陥りかねない。
京都市は行財政計画の中で「若い世代に選ばれる千年都市」の実現を掲げているが、現実は厳しい。秋にも公表されるより具体的な改革案に、市民の注目が集まっている。
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