どこまで公費?意外と知らない「皇室の財布事情」 2021年度の皇室費予算は124億円、その内訳は?

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皇居外苑の二重橋。今回は皇室のお金について解説します(写真:momo/PIXTA)
日本国憲法第1条に「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と規定されている天皇。では、皇室はどのように財政をやりくりしているのでしょうか。『教養として学んでおきたい日本の皇室』を上梓した西川恵氏が解説します。
前回:署名・押印だけでも膨大「天皇の仕事」激務な中身

皇室費は3つに分かれている

宮内庁関係の予算は大きく皇室費と宮内庁費に分かれています。このうち天皇家と宮家に直接関係する予算が皇室費で、2021年度は124億2147万円でした。一方の宮内庁費は宮内庁の運営のために必要な人件費・事務費で同年度は125億8949万円です。

ここでは皇室にかかわる皇室費を見ていきますが、これは内廷費、皇族費、宮廷費の3つに分かれています。

・内廷費

まず内廷費は、内廷にある方々、つまり天皇家5人の日常の費用のために支給されます。金額は法律によって定められていて、2021年度は3億2400万円です。この額は1996年から変わっていません。

内廷費はお手元金といわれる私費で、天皇家の方々の間でどのように分けられているかは発表されていません。使い道は、以前に明らかにされた資料によると、人件費(33%)がトップで、衣類など身の回りのもの(18%)、食費など(13%)、医療その他(12%)、交際費・災害見舞金(10%)などとなっています。私的に雇われている人たちの人件費が3分の1とかなりの部分を占めているのが目につきます。

今上天皇ご一家をお世話する侍従職は約70人おり、ほとんどは国家公務員で、給与は国から支払われています。

しかしこれとは別に私的に雇われている人たちがいます。人件費はこれらの人の給与で、代表的なのは宮中祭祀を担う掌典(しょうてん)職(男性)と内掌典職(女性)です。いわゆる神職のことです。神事に公費を充てると憲法の政教分離規定に抵触するため、私的に雇用しています。祭祀の備品なども内廷費からの支出となります。

また上皇さまがハゼの研究をされる皇居内の生物学御研究所や、養蚕を行っている御養蚕所も私的行為と位置づけられ、ここの職員も私費で雇われています。

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