どこまで公費?意外と知らない「皇室の財布事情」 2021年度の皇室費予算は124億円、その内訳は?

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食費は日常の食費だけでなく、お住まいの御所にお客さまを招かれた際の食事なども、両陛下の個人的な接遇として内廷費から出されます(ケースによっては公的性格があるとして宮廷費から賄われることもあります)。また身の回り品の購入、日本赤十字社など社会事業への奨励金、大規模災害時の都道府県への見舞金、ご静養や私的旅行の経費などもこの内廷費から払われます。

2018年に上皇、上皇后である明仁天皇と美智子皇后が全国植樹祭で福島県を訪問された際、相馬市内の魚の卸売市場に立ち寄られ、カレイやホッキ貝などを買われました。お2人は原発事故の風評被害に心を痛められており、これもプライベートな内廷費から支払われました。ちなみに内廷費には所得税と住民税はかかりません。

・皇族費

皇族費は宮家に支給されるプライベートなお金です。皇族としての品位保持のためとの名目で、皇族個々人に支給されます。法律で金額が定められており、2021年度は当主が3050万円、妃殿下はその半額です。

秋篠宮家で見ますと、秋篠宮さまは2020年11月8日、皇位継承順位1位の皇嗣(こうし)となられたことにより、皇族費は定額(3050万円)の3倍の9150万円と決められました。これに紀子さま(定額の2分の1)、眞子さま(定額の10分の3)、佳子さま(同)、悠仁さま(定額の10分の1)にそれぞれ支給されるため、秋篠宮家には約1億2810万円が充てられます。

皇族費の合計は2021年で約2.7億円

ほかの宮家では、常陸宮家が2人で4575万円、三笠宮家が4人で5856万円、高円宮家が2人で3690万円となっています。宮家が受け取る皇族費は各宮家の家族構成によって決まるわけで、家族構成に関係なくグロスで3億2400万円と決まっている内廷費との違いです。皇族費の合計は、2021年度は2億6932万円となります。

内廷費と皇族費の定額の変更は、首相や衆参両院議長、財務相らがメンバーとなる皇室経済会議で審議されます。なおこの会議では、宮家創設や、女性皇族が結婚することで皇籍離脱する際の一時金の額も決めます。

2018年に高円宮家の三女である守谷絢子(あやこ)さんがご結婚された際には1億675万円、上皇ご夫妻の長女、黒田清子(さやこ)さんのご結婚(2005年)では1億5250万円が支給されています。ちなみに1966年に三笠宮家の長女、近衛甯子(このえやすこ)さんがご結婚した際の一時金は2743万5000円でした。そのときの物価水準が反映するのは当然ですが、内廷にある皇族か、宮家の皇族か、なども考慮して決められます。

次ページ3つ目の「宮廷費」とは?
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