困る前に知ってほしい「在宅介護の負担」抑える術 「通所系」を組み合わせて仕事と介護を両立する

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費用面については、どうだろう。介護保険利用はデイサービスの利用が中心となり、自己負担額は月額2万1000円程度。介護保険以外の費用が全体の半分以上を占め、約2万8000円。合計で5万円弱となり、母の年金で賄うことができているそうだ。Aさんのように、介護費用は可能であれば、親の年金や資産で賄うことが理想的と言える。

介護保険適用外費用が全体の5割以上を占める(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

介護する側の事情も考慮する

ただし、介護にかかる費用は介護の状態や要介護度によってケースバイケース。子どもが介護にどのくらい関われるのかも、その人の事情によってまちまちだ。介護される人の要望になるべく沿い快適な介護生活を送ってもらうのが前提ではあるが、介護する側の事情も考慮しながら介護の進め方を考えていくといいだろう。

『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

また、Aさんの母親のように、認知症の場合、症状が進んでいくと見守りが必ず必要になってくることも。Aさんも排泄ケアについては自信が持てないと話しており、家族だからこそお互いに気を使ってスムーズに事が運ばないといったシーンも出てくるだろう。そういった悩みごとはケアマネジャーに相談したり、身近に介護経験者がいるなら相談したりするという方法もあるかもしれない。

在宅介護にかかる月額費用は、施設介護と比べて比較的負担が少ないということが一般的だ。ただし、要介護度が進むにつれその分サービス利用が増え負担が増すということもある。在宅介護をより快適に進めるため、福祉用具の準備や場合によっては、バリアフリー化などの住宅改修も視野にいれたい。そういった費用は、介護保険制度の利用や公的な給付制度の利用で抑えることができる。

また、介護費用は親の年金や資産で賄うように意識していくことが大切。しかし、要介護度が高くなることや、介護期間が長期間にわたるなどのさまざまな事情から、親の費用負担が増え、年金や貯蓄で賄うことが厳しくなることはゼロではない。そのことはあらかじめ心得ておき、親の資金繰りが難しくなったら、子どもが費用面のサポートをすることも家族で話し合っておくといいだろう。

池田 直子 特定社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

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いけだ なおこ / Naoko Ikeda

東京経済大学短期大学部卒業。大手損保会社勤務を経て、「いけだFP社会保険労務士事務所」開業。2002年にヒューマン・プライムを設立し、代表取締役に就任。2008年に社会保険労務士事務所「あおぞらコンサルティング」を開所し、所長就任

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