困る前に知ってほしい「在宅介護の負担」抑える術 「通所系」を組み合わせて仕事と介護を両立する

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在宅で介護をする場合、介護環境をきちんと整えることから始めたい。例えば、車いすや介護ベッドなどの福祉用具は、介護する側の負担軽減にもつながるので揃えておくと便利だ。また、室内を車いすで移動しやすいよう段差をなくすことや、お風呂やトイレに手すりを付けるなど、居住環境を整えることで、介護される人の自立度も高まる。

自宅をバリアフリー化するのは要介護者の自立を高めることも(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)

このような費用はどのくらいかかるのだろうか。SOMPOホールディグスの「介護費用に関する調査」(2020年)によれば、在宅介護の初期費用は平均64万円というデータがあり、ある程度、まとまった費用が必要になることがわかる。

こういった、介護環境を整えるための費用は、公的な給付制度を利用することで抑えることが可能だ。

車いすや歩行器、介護ベッドなどはレンタルすることができ、その費用は介護保険が適用となり、自己負担額は実費の1~3割。また、簡易浴槽などの購入が一般的な福祉用具も介護保険適用となり、支給限度基準額10万円までなら1~3割の自己負担で済む。レンタルでも購入でも市区町村指定の業者での利用に限り、ケアマネジャーへの相談が必要となる。

小規模な住宅改修も給付制度の対象

段差をなくす、手すりを付けるなどの小規模な住宅改修についても、給付制度の対象だ。厚生労働大臣が定めた種類の住宅改修であれば、自己負担割合に合わせて、上限18万~14万円まで給付を受けることができる。

この制度の利用もケアマネジャーへ相談する必要があり、事前に市区町村への申請手続きが必要で、認定期間内に改修工事を完了させるなどの条件がある。また、福祉用具の購入と住宅改修については、原則料金を支払った後、支給限度額分が戻ってくる仕組みのため、ある程度まとまった費用が必要となることを覚えておきたい。

給付制度利用にはケアマネジャーへ相談すること(出所:『離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』)
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