「会議より子の風呂優先」育休取得の男性語る変化 3人が語る育休経てガラッと変わった価値観

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陶山:ただ、実際に復帰してみたら別にどうということはなくて。当時Scalaをメインで書いていましたけど、「読める読める、俺、Scala読める!」みたいな(笑)。しばらく手を動かさなくても、意外と大丈夫なんだなということは、やってみてよく分かりました。

海老沢:結局、僕たちエンジニアの場合って、仕事を抜けることでポジションが落ちたり、周囲に抜かされることが怖いんじゃなくて、自分の進歩とか学習が止まることが不安なんですよね。

陶山:そうなんです。面白いプロジェクトって世の中にたくさんあるので、たとえ自分が休んでいる間に何か面白そうな新規プロジェクトが動き出したとしても、やれなくて悔しいということは考えなかったですし。

河合:そのプロジェクトに私が合っていると周りが判断したら、途中からでもちゃんと呼んでくれるでしょうしね。

陶山:冷静に考えると分かることなんですけど、そもそも例えば半年休んだとして、その半年で今のプロジェクトがどれくらい進みますかと言ったら、せいぜい大きな機能が二つ載ればいい方。半年でいきなりドラスティックに全部の技術が変わってついていけなくなるなんてことは恐らくない。だから、怖がる必要なんてなかったんですよね。

河合:確かに。

陶山:じゃあ育休前の自分は結局、何を怖がっていたかと言うと、「知らないこと」なんですよ。これまで長期間休んだことがなかったから、何が起こるか分からなくて不安だった。でも、こうして体験してみて、知らないことではなく知っていることになった。すると、もう不安ではなくなるわけです。

河合:知らないものは怖い。本当、その通りですね。

育休を取ったおかげで寛容になれた

――では、育休を取る前と後で、仕事観や働き方にどんな変化が生まれましたか。

陶山:優先順位が完全に変わりました。今は仕事よりも家庭が第一。

河合:私もチームのミーティングより娘とお風呂に入る方を優先しちゃいます(笑)

陶山:18時からお風呂の時間だから絶対にミーティング入れないで、みたいなのはありますよね(笑)。それまでは割とワーカーホリックな働き方をしていましたけど、今は朝8時30分に始業して、17時には終業。そこから子どもを保育園まで迎えに行って、お風呂に入れて、ご飯を食べさせて、寝かしつけて。そこでまだ時間があるなら、ちょっと仕事の続きをやる程度。家庭の時間が最優先。その空き時間を仕事で埋めるようになりました。

河合:あとは寛容になれたというのも大きい気がします。他の方が育休を取るのはもちろん大歓迎ですし、育児以外でも休みたいと思ったらどんどん休めばいいと思えるようになった。それまで僕もわりと仕事仕事という生活だったので、そういう視野の広さを持てるようになったのは、育休を取ったおかげだと思います。

陶山:分かる。今は他の人が突然有休を取っても、「疲れてるよね、みんな休もう」って思う(笑)

河合:今って育児をしながらリモートワークのご家庭もあると思うんですけど、子どもがいると本当に仕事って進まないんですよ。そういう事情を想像できるようになったのは、自分が育児を経験したから。相手から返信がないときも、きっと何か事情があるんだろうなと許容の幅が広がった。そこでイライラせず、「だったら私もその時間は娘と遊ぶぞ!」と切り替えられるようになりました。

陶山:そもそも子どもは思い通りにならないですからね。

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