「会議より子の風呂優先」育休取得の男性語る変化 3人が語る育休経てガラッと変わった価値観

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――いざ育休に入ったときはどういう心理だったのでしょうか。

海老沢:僕はポカンとしましたね。というのも出産直後は妻も子も入院中なので、いきなり1人になっても何をやっていいか分からないんですよ。やったことと言えば、保活のために区役所に保育園の資料をもらってくるくらいでした。

河合:でも逆に、その助走期間があったから気持ちを切り替えて育児に向き合うことができた気はしますよね。

陶山さん(写真:エンジニアtype編集部)

――育休中は仕事との距離をどのようにとっていましたか?

河合:私はSlackを見ないようにしていました。見ると、働いていないことに対する不安が出てくるので、休んでいる間は見ないでいようと。

陶山:分かります。僕もSlackを完全遮断して情報が入ってこないようにしていました。

海老沢:僕はSlackを見るのが好きなので、雑談用のチャンネルなどは結局見ちゃいますね。ただ、プロジェクトに関するチャンネルだけは薄目で見るようにしています(笑)

陶山:休んでいる間に勉強とかされました?

河合:私は結構していたかもしれないです。最初は忙し過ぎてできないんですけど、3週間くらい経った頃から慣れてきたこともあり少しずつ空き時間ができはじめて。それをなるべく勉強にあてるようにしていました。子育てをしていると、どうしても時間が細切れになっちゃうんですよね。

陶山:そうなんですよ。

河合:子どもが起きる起きないが生活のすべて。寝ている間にどれだけできるか、という感じでした。

陶山:分かりみが深い。

細切れの時間を活用する方法

海老沢:僕は今育休に入ってちょうど1カ月くらいなんですけど、細かく時間はあるものの、集中力のいる作業や勉強がなかなかできないなというのが悩みで。できることと言えば、せいぜい本を読むぐらい。細切れ時間をうまく使って勉強するコツってありますか?

河合:私はやるタスクを絞っていましたね。論文を読んで実装するようなことは3時間とか5時間とかまとめて時間をとらないと集中できない。そういうのは全部捨てて、新しいプログラミング言語を覚えるとか、プログラミングに関するYouTubeを見るとか、短い時間でできることをやっていました。

陶山:僕は勉強をする余裕自体が全然なかったですね。お昼寝で寝かしつけたら一緒に寝ちゃうみたいな生活(笑)。育休期間の前半は勉強ができないことへの焦燥感に駆られていましたけど、後半はもうあきらめて。育休中は子どもと向き合おうと気持ちを切り替えていました。

河合:そういうところは家庭環境の違いが大きいですよね。

海老沢:よく寝る子かどうかにすべてが懸かっているみたいなところありません?

陶山:確かに。あとは、夜泣きがどれくらいかとか。

河合:そうですね。私の子はよく寝てくれたんで、夜しっかり休めたことは大きかったです。

――陶山さんと河合さんは育休取得にあたってキャリアに関する不安があると言っていました。そのあたりは実際にやってみていかがでしたか。

陶山:休んでいるときはずっと不安でしたね。復帰するとき、「プログラムちゃんと書けるかな?」と思ったのを覚えています(笑)

河合:完全には解消されないですよね。さっきのサッカー選手の話で言うと、リハビリ用の筋トレをして誤魔化している感じはちょっとありました。空いている時間にプログラムを書いてみたり。そうやって少しだけ筋トレをすることで感覚が鈍らないようにしていたところはあるのかなと。

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