「眼のトレーニング」が仕事の作業効率を上げる訳 日本代表のアスリートも実践している

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慣れないリモートワークにより、集中力が続かない、ミスが増えた……。その原因は眼にあるかもしれません(写真:プラナ / PIXTA)
慣れないリモートワークが原因で、集中力が続かない、ミスが増えた、仕事の作業効率が下がったと実感するビジネスパーソンは多いのではないだろうか。では、作業効率向上に眼のトレーニングが有効だとしたらどうだろう?
視覚とメンタル機能を同時に鍛える「メンタルビジョントレーニング」を提唱し、フェンシングや野球、バレーボールなどのオリンピック日本代表選手もサポートしているのが、臨床心理士の松島雅美氏だ。一般の社会人向けにもオンライン講座を持つ松島氏に、ビジネスパーソンにも役に立つ「眼のトレーニング」について聞いた。

眼の「悪い使い方」が体の歪みにつながる

臨床心理士、公認心理師である松島雅美氏は、発達障がいや学習不振を抱える子どもたちの支援に取り組む一方、パフォーマンス向上を目指すアスリートのサポートも実践している。サポートしているアスリートの中には、今回の東京オリンピック日本代表のフェンシング、野球、バレーボールの選手等も含まれるという。

松島雅美(まつしま・まさみ)/臨床心理士・公認心理師 Je respire株式会社代表取締役・国際メンタルビジョントレーニング協会代表理事。1972年広島県生まれ。京都女子大学大学院修士課程修了。阪神・淡路大震災時に開設された「兵庫県精神保健協会こころケアセンター」にて2年間被災者のPTSDケアに携わる。医療・教育・福祉・一般企業など延べ2万人以上のカウンセリング経験で感じてきた、日本におけるメンタルケアへのネガティブなイメージを変えたいといった想いから、情報処理能力を上げる眼のトレーニング×メンタル機能向上のプログラム(メンタルビジョントレーニング)を構築

彼女が提唱する「メンタルビジョントレーニング」は、こうした子どもたちやアスリートの間で数多くの実績を上げているという。いったいどのようなものなのだろうか。

「『ビジョントレーニング』というのは、眼から入った情報を脳が的確に処理してスムーズに動作できるようにするトレーニング法で、昔からあるものです。ただ専門性が高く、指導できる人が少ないため、なかなか日本では普及していませんでした。これを一般の人にもわかりやすく、かつ、メンタル機能向上の効果も取り入れたのが『メンタルビジョントレーニング』です」(松島氏)

トレーニング内容は多岐にわたるが、たとえば親指を使った眼球ストレッチがある。

まずは眉間から30cmぐらい離れた場所にグッドサインの要領で親指を立てる。そして親指の先に両目の焦点を合わせる。焦点を合わせたまま、首を左に回していく。こうすると眼球を支える筋肉が左に伸びるのを感じるはずだ。続けて、右、上、下と同様の動作を実行する。これを続けていくと体の歪みも改善するという。

眼の使い方には個々で差があり、眼球の筋肉が凝ると同じような方向を見る癖がつく。体は視線のほうに傾くようにできているので、それが体の歪みにつながる。目線はバランスの重要な要素でもあるため、眼球の筋肉をほぐすことで、眼の使い方の癖が修正され、体の歪みも改善されていくのだ。

「体が歪んでいては思うように体を動かせませんし、姿勢が整わないと心も整いません。ですから、まずはこのストレッチを準備運動として行うことを推奨しています」(松島氏)

次ページ眼を鍛えることは、動体視力を鍛えることではない?
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