三井住友海上「中古車のユニコーン」に出資した訳 豊富なデータとデジタル技術を活用できるか

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カーロのアーロン・タンCEOは35歳。AIプログラマーでもあり、13歳で最初の会社を起業した。IT関連の会社やベンチャーキャピタル立ち上げに関わった後、2015年にカーロを創業。同社には現在、AIに精通したプログラマーやデータサイエンティストら約30人が所属し、三井住友海上も彼らからデジタル技術の高度なノウハウを吸収したい考えだ。

三井住友海上が属するMS&ADグループは東南アジアを中心に海外展開している。東南アジア10カ国での収入保険料の市場シェアは、世界の名だたる損保グループの中でもトップに位置する。当初は東南アジアに進出した日系企業向けに保険商品を提供することからスタートし、今では現地企業や個人顧客にまで幅広く損保商品を販売する。

成長余地大きいアジアの中古車市場

「カーロの業績が上がれば、当然ながら出資額に応じたリターンが期待できる。だが、それ以上に同社の事業を後押しすることで、透明性の高い健全な中古車市場の発展に寄与していきたい」(三井住友海上の本山氏)。

一方、カーロにとっても今回の出資は渡りに船だ。東南アジア4カ国での事業展開は順調で、創業以来、売買する中古車の台数、売り上げともに右肩上がりで拡大している。2020年度の中古車売買台数は前期比で約40%増、売り上げは約2.5倍に急増した。

東南アジア各国の自動車の普及率は日本と比べて低く、今後中古車市場の成長の余地は大きい。ただ、自動車ローンや自動車保険と比べて中古車売買の利益率は低く、カーロの事業拡大のためには、自動車保険など金融商品の販売が不可欠だ。

日本の大手商社から出向しているカーロCSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)の成嶋兼次氏は「三井住友海上の資本参加の意義はとても大きい。三井住友海上が持つ(テレマティクス保険の開発につながる事故データなど)さまざまなデータを提供していただけると期待している」と話す。

現在、東南アジア4カ国で事業展開するカーロだが、2022年をメドに日本や韓国、台湾、オーストラリアなどへの進出も視野に入れているという。

高見 和也 東洋経済 記者

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たかみ かずや / Kazuya Takami

大阪府出身。週刊東洋経済編集部を経て現職。2019~20年「週刊東洋経済別冊 生保・損保特集号」編集長。

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