さて、個人的にはオリンピックよりも競馬である。しかし、ギャンブルとしての競馬ではなく「キングオブスポーツ」としての競馬である。そこで、今回は、馬の生産者および、資本家としての馬主によって成立している競馬というスポーツ産業を考えてみよう。
この夏、サイバーエージェントの藤田社長がすごすぎた
実は、7月はサラブレッドのセリのシーズンである。
今年、馬券の売り上げが引き続き伸びているのは、コロナの巣ごもりギャンブルによるものではなく、どうも「ウマ娘 プリティダービー」というゲームの影響もあるらしい。
そこでは、ギャンブルとしての競馬ではなく、競馬産業としての競馬である。そもそも、日本が世界一の競馬ファン数を持つのは、競走馬育成シュミレーションゲーム「ダービースタリオン」のおかげである。最近はウマ娘である。
そのウマ娘の大ヒットで、収益を馬産業界に還元したいということで、ウマ娘を世に送り出した企業を傘下に持つサイバーエージェントの藤田晋社長が、7月のサラブレッドの競り市で、1歳馬と当歳馬(馬は生まれたときゼロ歳、つまり当歳と言う。それが1月1日に数えで年を取る)と2日間であわせて23億円余り購入した。
これ以外のセールでも何億円もの購入を行っており、ディープインパクト産駒の最後の世代(1歳馬)についても1頭を4億7000万円で落札するなどしているから、まさに巨額の購入をしたことになる。現在は、馬主のシーズンなのである。
こんな世界はわれわれとは無縁だと思われがちだが、日本における競馬産業が圧倒的に世界最大なのは、JRA(日本中央競馬会)の1980年以降の普及活動の賜物、競走馬育成ゲーム、そしてそれと並んで、一口馬主の幅広い普及がある。
欧州の競馬産業は、欧州貴族の経済的衰退から、ジリ貧が続いてきたが、それを救ったのはアラブのオイルマネーであり、カネよりもダービー馬のオーナーになる名誉を求める産油国の王族たちのマネーが大量に流入したことである。しかし、これは持続性に疑問を持つ見方もあり、また、原油相場に左右されるという問題もある。
一方、日本では壮絶なバブル崩壊が1990年に起きたにもかかわらず、逆に「馬主」は急増した。伝統的な馬主層の一部は不動産バブル崩壊で消えていったが、これを補って余りある発展をもたらしたのが、一口馬主である。これは以前から存在していたが、ダービースタリオンに影響を受けた、競馬血統ファンたちが「自分でも馬を持ちたい」ということから急激に大衆化した。そして、今では、一口馬主による馬たちが、日本の競馬を支えているどころか、多くのクラシックホースがクラブ(一口馬主クラブ)の所有馬である。
実は、この持ち回り連載の執筆陣3名そして重要な関係者1名も、それぞれの資産に応じたささやかな一口馬主である。そして、その申し込みシーズンは7月を中心に、セリのシーズンと重なる初夏から初秋なのである。そこで、今日は、興味のある方のために、どのような馬に投資するべきか、その鉄則を紹介したいと思う。
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