いよいよ羽田空港からの搭乗である。午後11時発と夜遅い便ということもあり、ほとんどの店舗がクローズドという寂しい国際線ターミナルからの出発だ。
チェックインカウンターでは、居所情報のデジタルフォーマットの登録が行われているかどうかと、PCR検査の書面のチェックが行われる。もちろん、検温も行われた。ちなみにエールフランス航空の機中では常時、サージカルマスクの着用(布マスクは不可)が義務付けられていた。
日本在住のヨーロッパ人ファミリーがバカンスのために里帰りをするのだろうか、機内は子どもたちの元気な声に満ちており、かなりの座席が埋まっていた。昨年9月の人もまばらで静まり返った機内とは、対照的であった。
機内ではフランス入国、トランジットを問わず、これからの旅程や連絡先について記す誓約書の記入が求められ、パリ到着までに客室乗務員によって回収された。
「拍子抜け」した瞬間
パリ・シャルルドゴール空港に到着すると、ここは羽田とは別世界だ。早朝にもかかわらず、多くの人々であふれていた。ただし、非シェンゲン協定国からの入国に関してはとても、すいていた。
EU入国審査窓口が近づいてくると、少々緊張する。昨年は、かなり入国の目的や帰国チケットなどについて追及されたし、隣のレーンでは入国が認められないのか、大泣きしているアジア系ファミリーもいた……。
パスポートとともにPCR検査証明書などの書類を用意し、係員に提出する。彼はしばし私のパスポートを眺めていたが、その後に発したのはたった一言、「元気か?」。調子抜けの一瞬であった。そこでは、パスポート以外なにもチェックされなかった。
続いてローマへの乗り継ぎだが、ここでは搭乗前にパリへの機内で書いたものとほぼ同じ誓約書の記入し、係員に渡すことが通常時との違いであった。そして、ローマ・フィウミチーノ空港には定刻に到着。バゲージを受け取り、10カ月ぶりのイタリア入国の瞬間を迎えた。
しかし、何もチェックポイントはない。まったく何もなく入国できてしまったのだ。結局、しっかりと検温をされたのも、PCRテスト証明書を見せたのも羽田のチェックインカウンターだけであった。
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