欧州鉄道「ワクチン接種後」の国境越え現地ルポ 4カ国通過、証明書はチェックなし…大丈夫?

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オーストリアの首都ウィーンの中央駅。欧州ではワクチン接種が進み国際移動が復活しつつある(撮影:橋爪智之)

ようやく世界的にワクチン接種が進みつつあるものの、いまだ収束は見えない新型コロナ。とはいえ、すでにあらゆる産業が壊滅的なダメージを受けており、このままでは国家そのものに悪影響が及ぶ懸念すらある。いつまでも完全な収束を待ち続けるわけにはいかない。

EU圏内では、2020年秋から2021年初めまでは各国で多くの感染者を出したが、春先になるとその数は落ち着いてきた。それに加え、各国とも高齢者から順にワクチン接種が進み、多くの国ですでに30~40代の接種が終わろうとしている。チェコ在住の筆者も、6月中に1回目の接種を終え、まもなく2回目を接種するという段階まで来た。

陽性患者数が減り、ワクチン接種がある程度進めば、次の段階として各国間の移動を解禁するのは当然の流れだ。ダメージを受けた産業の回復には国際移動が必要不可欠で、出入国の制限撤廃は各国にとって悲願とも言える。

ワクチン接種進み国際移動が可能に

EU加盟各国間は、移動制限が課せられていた間も最低限の交通網は確保されていた。公的機関の関係者や医療従事者、他国への出張が必要不可欠な業種で、特別な許可を得た人のみが移動を許されていたためだが、いつもなら10両ほどの国際列車も4両程度の短い編成となり、乗車人数もわずかだった。

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だが感染者数が減りはじめ、国際間の移動制限が緩和されてきた4月ごろから列車の本数は増えてきた。5月末以降は夜行列車が徐々に再開されている。

ヨーロッパ地域ではEU加盟国のほか、スイスやノルウェー、リヒテンシュタインといったシェンゲン協定加盟国も歩調を合わせ、ワクチン接種もしくは陰性証明書(PCR検査であれば72時間以内に行われた検査で陰性であることを証明するもの)、あるいはコロナ感染証明書(すでに罹患して回復したことで体内に抗体ができている人に対し発行される)を所持していれば、自由に各国間を移動することが可能となった。

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