欧州鉄道「ワクチン接種後」の国境越え現地ルポ 4カ国通過、証明書はチェックなし…大丈夫?

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ただし、オーストリアからイタリアへ向かった人の話では、国境で体温チェックと書類(ワクチン接種証明書もしくはPCR検査陰性証明書)の提示を求められたとのことで、国によってはチェックを行っているところもあるようだ。

これほど自由に、簡単に行き来ができるなら、もう欧州各国は観光客で溢れ返っているのではないか、と思うかもしれない。今回はドイツ、オーストリアのそれぞれの首都であるベルリンとウィーンを訪問したわけだが、コロナ以前の賑わいを考えればまだまだ人が少ないという印象を受けた。

ベルリン随一の繁華街であるクーダムの人影はまばらだった(撮影:橋爪智之)

ベルリンは店舗が閉まる日曜日(ドイツでは『閉店法』が今も残り原則的に休日は店が閉まる)の訪問だったため、観光客がいなければ人がほとんど歩いていないという状況は容易に想像できた。それでも、クーダムと呼ばれるベルリン随一の繁華街であっても数えられるほどしか人が歩いていないという光景は初めてで、ちょっと異様な光景だった。

他国訪問は容易になったが…

一方、月曜日に訪問したウィーンは、オペラ劇場やシュテファン寺院周辺など多くの観光客が訪れる場所では、それなりに多くの人たちを見かけた。これが観光客なのか、それとも買い物や仕事に来た市民なのかは判断できないが、帰宅ラッシュに差し掛かった夕方5時ごろの地下鉄車内はかなりの混雑だったので、多くは観光客ではなく市民だったのかもしれない。

夕方のウィーン地下鉄ホームは混雑していた(撮影:橋爪智之)

欧州圏内においては、すでに他国への訪問は想像していたよりはるかにハードルが低く、容易であることは今回の取材でわかった。これから夏にかけて、これらの都市も少しずつ活気を取り戻していくことになると予想される。

しかし感染者数が減ったからと言って、もろ手を挙げて喜び、好き勝手に渡航して好き放題に振る舞う、ということはあってはならない。6月11日~7月11日に行われたサッカー欧州選手権では、マスクをしないで大騒ぎをしたサポーターに感染者が多数出たと報じられている。あくまでピーク時から少し落ち着きを取り戻しただけで、今もコロナ禍は続いているということを常に念頭に置いて行動しなければならない。

橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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