欧州鉄道「ワクチン接種後」の国境越え現地ルポ 4カ国通過、証明書はチェックなし…大丈夫?

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とはいえ、小さな田舎駅のバット・シャンダウではチェックを行う体制が整っていない可能性も考えられる。次のドレスデンで乗り込んでくるかもしれない。案の定、ドレスデン中央駅には複数の警官がホームに立っており、いよいよか……と身構えたが、その警官たちは列車の到着を見届けると、乗り込まずにそのまま出口のある階段を下りていった。

こうして何も起きぬまま、終点のベルリンに到着した。わずか数カ月前、列車は運休となり、国境では通過する車に対し厳重なチェックを行っていると報じられていた。だが感染者数が減り、条件付きでありながらも渡航解禁になったとたん、一切のチェックがなくなったのは驚きであった。

ポーランドのヴロツワフ中央駅に停車中の夜行列車(撮影:橋爪智之)

その後、今度はベルリンからポーランドとチェコを抜け、オーストリアへ抜ける国際夜行列車に乗車した。途中で国境を3回も通過することになるため、いったいどのようなチェックがあるのか気になっていたため、この列車を利用してみたのだが、やはり結果は同じで、どこの国境でもまったくチェックされる様子はなかった。

もちろん、駅停車中はホームに降りることも可能だ。深夜のポーランド国内の駅に降り立ってみたが、人々がマスクを着けていること以外、取り立てて変わった様子は見られなかった。

4カ国通過、1度もチェックはなし

夜行列車は寝台も座席も基本的に個室となっており、狭い空間に多くの乗客が密集して感染リスクが高まることから、これまで長期間運休となっていた。6月から順次運行を再開した夜行列車は、他人との相部屋は認められているが、マスク着用が義務付けられる。

一方、1室を占有すればマスク着用義務は免除されるため、個室を1人で買い取ることも可能となっている。少々割高だが、リスクを考えればそれもやむをえないかもしれない。ちなみに、筆者はあえて3人の共同部屋を選択してみたが、他の乗客がいなかったため、1人用個室と変わらない状況での利用となった。

結局、ウィーンからプラハへ戻る列車においてもチェックなどは行われず、この4カ国を通過する取材では、一切のチェックが行われることはなかった。厳重な警戒を想像していたため、完全に肩透かしを食らった気分だ。

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