ヨーロッパに「夜行列車黄金時代」はやってくるか 衰退一転し復活の動き続々、新規参入会社も
5月24日、オーストリアの首都ウィーンからオランダのアムステルダムへ向けて、新たな夜行列車が出発した。誕生以来、ヨーロッパで数々の成功を収めているオーストリア鉄道の夜行列車「ナイトジェット」の新しい目的地として、オランダが加わったのだ。
コロナで長期間にわたって運休が続いていたナイトジェットだったが、既存の路線は5月末から順に営業を再開しており、それに加えて新路線のオランダ線が営業を開始したのだ。オランダに夜行列車が運行されるのは、2016年12月にドイツのシティナイトラインが営業を終了して以来、4年半ぶりのこととなる。
一度は「終焉」を迎えた夜行列車
営業初日は発車前に記念式典が催され、オーストリア気候環境大臣のレオノア・ゲヴェスラー氏や、オーストリア鉄道CEOのアンドレアス・マッテ氏が式典終了後にそのまま一番列車へ乗車。終点のアムステルダム中央駅では、オランダ環境大臣のスティーチェ・ファン・フェルトホーヘン氏とオランダ鉄道社長のマルヤン・リンテル氏が出迎えた。
マッテ氏はスピーチで、「乗客は安全で快適なだけではなく、環境に優しい手段で旅をすることができる。飛行機と比較すれば、1回の移動でCO2を約10万kgも削減できる」とアピールした。リンテル氏は、「ベルリン、ブリュッセル、ロンドン、パリに続き、列車で直接移動できるヨーロッパの首都としてまた一つ、ウィーン(とインスブルック)を加えることができた」と歓迎した。
すでに何度かご紹介している通り、オーストリア鉄道の夜行列車「ナイトジェット」は、コロナ禍による旅客の減少や運休といった不可抗力による事情を除けば、ほぼ成功を収めてきたと言って差し支えない。
ヨーロッパの夜行列車は、少なくとも2010年代前半までは、ほぼ終焉を迎えたものと思われていた。鉄道の高速化によって、夜行列車の活躍できる範囲が徐々に狭まっていったことに加え、低価格の長距離路線バスやLCCといった鉄道以外のライバルが台頭してきたことで、乗客離れが加速したためだ。
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