「スマホ問題で逆上する中1」に必要な1つのこと 子どもに「共感」することで親の行動が変わる

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ルール決めは決裂し、長期間待つことはできず、話し合いすらできない可能性もあります。それがクリアできない以上、子どもが勉強を優先するようになるのは夢のまた夢になります。

そこで、大沢さんにはこれら3つとは異なる別の手段を提案したいと思います。

「親が子どもの中に“入ってみる”」

この意味は、「自分が今の子どもの立場であったら、親にどうしてもらいたいか?」を感じてみることです。これは簡単なように思えますが意外と難しく、時間もかかります。しかし、試してみる価値はあります。

まずは子どもの感じていることに「共感」してみる

子どもが親の立場となり、親を理解することは不可能に近いですが、親が子どもの立場で考えることは不可能ではありません。なぜなら、親は子ども時代を経験しているからです。昔は今とは時代が違い、スマホもないし現代の子のことはわからないと思うかもしれませんが、そのような表面的なことではなく、立場を理解するということです。

「もし、自分が目の前の子どもであったら、自分は何を感じ、親にどうしてもらいたいでしょうか?」

この問いについて考え、紙に書き出してみてください。このワークを行うことで、例えば次のようなことがわかります。

・いつも自分がやることに親はいちいち口出ししてうるさい
・なぜスマホがダメなのかよくわからない。自分だってやってるでしょ
・つまんない勉強より、友達のほうが今は大切
・いつもダメ出しばかりで、うざい

このように子どもが感じていることが理解できると、親の行動パターンは次のように変わる場合があります。

・子どもとスマホに関してポジティブな話題として話すようになる
・子どもが関心をもっていることに興味がでるようになる
・スマホばかりの状態が気にならなくなる
・子どもの勉強に関してうるさく言わなくなる

このような状態を一般的に「共感」と言います。とくに子どもは共感してくれる人の意見を聞きます。指示命令ばかりする人の意見は聞きたくありません。こうして、共感状態が一定期間続いてはじめて、子ども側に「意見を受け入れる体制」ができあがっていきます。

まずは、子どもの立場になると「何が見え、何を感じるか?」ということを、試してみてはどうでしょうか。まずはそれが第一歩です。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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