東大卒「頭のいい」リーダー人材の致命的な欠点 プロ人材が自分の軸とすべき「インテグリティ」

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損得や相手がどう思うかではなく、自分が正しいと思う判断基準、いわば自分の物差しがあれば、何か判断に迷うことがあっても、「自分の物差しに合うからイエスと言います」「自分の物差しに合わないからノーと言います」というふうにインテグリティのある対応ができます。

自分の物差しに従って判断をしていけば、インテグリティのある人間になれるはずです。

もしかしたら自分の物差しが、いわゆる世間の常識とは、ずれていることもあるかもしれません。その場合はしんどいかもしれないけれど、物差しに自信があるなら、自分を信じるべきでしょう。ただし何十年も持ち続けている物差しであっても、物差しのほうが明らかに狂っているのであれば、変えなければいけないと思います。

インテグリティを培う旅を続けていく

私は、2019年末まで、外資系コンサルティング会社であるカーニーの日本代表、2020年末までグローバルの取締役会メンバーを務め、2021年の初めからは、経営幹部のサーチとリーダーシップに関するアドバイザリーであるラッセル・レイノルズ・アソシエイツの日本における代表者として仕事をしています。

正直に言うと、私自身は長い間、インテグリティのある人間ではありませんでした。1つひとつの意思決定では、自分が勝つことや相手の歓心を得ることを目的に判断したこともありました。しかしその場合は勝っても負けても心はあまり穏やかではありません。その都度自分の立場や態度を変えていた私に、インテグリティはなかったということです。

ビジネスのプロフェッショナルとしての自分のこれまでを振り返ると、「インテグリティ」を培う旅をしてきたのであり、これからもその旅を続けていくのだと思います。

岸田 雅裕 ラッセル・レイノルズ 日本代表

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きしだ まさひろ / Masahiro Kishida

1961年愛媛県松山市生まれ。東京大学経済学部経営学科卒業。ニューヨーク大学スターンスクールMBA。パルコ、ローランド・ベルガー、ブーズ・アレン・ハミルトン、カーニーなどを経て、2021年より現職。2014年カーニー日本代表に就任してからは、企業戦略、事業戦略、リーダーシップ開発、M&A、トランスフォーメーションの支援を多数行った。2021年からは、ラッセル・レイノルズ日本代表として「日本の経営者の質を高める仕事」に取り組んでいる。著書に『マーケティングマインドのみがき方』『コンサルティングの極意――論理や分析を超える「10の力」』(いずれも東洋経済新報社)などがある。

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